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□第二の試験
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(なに、なんなのあいつ……!!)
腸が煮えくり返るとはこのことか。戦闘でないのが残念でならない。
「と、轟くん……と、語部さんンンっ!!? え、ちょ、顔! 顔すごいよ!!」
「ああ、ごめんいずっくん。こんなに頭にきたの、生まれて初めてだよ……!」
(お、怒った語部さん初めて見た……! こ、こわっ……!)
「焦凍、気にしないでね。あいつの言うことなんかデタラメなんだから!」
「………おう。ありがとな」
頷いて、いつも通り頭を撫でてくれる。彼はこんなに優しいのに。あいつが、彼の何を知っているというのか。
「……お前、それであんなイラついてたのか」
「イラつくどころじゃない! 好きな人貶されて平気でいられると思う!?」
「………お前、ほんと」
━━━━━━ジリリリリリリリリ!!
『敵によるテロが発生! 規模は○○市全域。建物倒壊により傷病者多数!』
「演習のシナリオ……!」
「始まったな」
(ああもう! なんで戦闘じゃないの!)
『道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ! 到着する迄の救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮をとり行う。一人でも多くの命を救い出すこと!!!』
「行くぞ」
「うん……!」
腹はたっているが、だからと言って冷静さを失っていい訳では無い。試験前に胸糞悪い思いをしたが、押し殺して自分を落ち着ける。
(今は、集中……!)
そうだ。あんな奴に動揺させられて落ちるなんて真っ平御免だ。
「とりあえず一番近くの都市部ゾーンへ行こう!」
これは救助だ。一人でやれることには限界がある。ここはチームで動くべきだろうと考え、出久に続く。
「ひっ、ひっ、ひ、ああぁぁああん!! たすげでえええ!!」
「こども……!?」
(てか演技えげつなっ)
過呼吸のように浅く乱れた呼吸に、頭から流れる血。滂沱のように流れ出る涙。
「あっち……! おじいちゃんが!! ひっ、潰されてえ!!」
「ええ! 大変だ!! どっち!?」
「なァんだよそれえ減点だよォオ!!!」
「!?」
その変わり身もえげつない。慌ててたずねた出久に、先程まで泣き叫んでいたHUCは容赦なく減点を叩きつけた。