3
□部屋王決定戦
1ページ/6ページ
1階、共同スペース。
一足先に部屋をつくった男子達は、これからの共同生活について談笑を楽しんでいた。そこへ、三奈を先頭に女子達がやってくる。
「男子部屋できたー?」
「うん。今くつろぎ中」
上鳴の返答に、女子達がよし、と笑う。
「あのね! 今話しててね! 提案なんだけど! お部屋披露大会しませんか!?」
「わああダメダメちょっと待━━━━━━!!!」
いの一番に犠牲になったのは出久である。必死の抵抗虚しく、無情にもドアは開かれた。
「オールマイトだらけだ! オタク部屋だ!」
お茶子の言う通り、壁一面に貼られたオールマイトポスター、部屋いっぱいに飾られたオールマイトフィギュア。カーテンやカーペットまでオールマイトカラーだ。
「流石いずっくん……」
「憧れなんで……恥ずかしい……」
しかしこれだけあると圧巻だ。ちょっとした記念館ではないか。
「凄いね。ね、焦凍」
「……………」
「焦凍?」
「眠い……」
「だいじょぶ? 疲れてるなら部屋戻ってていいんだよ?」
「お前が起きてるなら、起きてる……」
「!」
(か、かわっ………)
少し甘えたような声。どうにもたまらない。
「……手」
「?」
「……………連れてけ」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
(焦凍が可愛い!)
きゅ、と手を握られれば、それを振りほどく理由もない。片手でこしこしと目をこする焦凍を連れて歩くことにした。
「あ! つむぎっち轟と手ぇ繋いでる」
「なんかもう、可愛すぎてっ……」
「え? 轟が?」
コクコク頷く紡に、お茶子がにまにま笑う。
「ラブラブやんね〜」
「いい……焦凍が可愛いから今は何言われてもいい……!」
恥ずかしさより焦凍可愛さが勝った瞬間である。
さて、出久の部屋が暴かれた、その次は。
「フン、くだらん……」
「あ、常闇くん」
下らないと言いながら自室のドアを背に腕組みをしている常闇。明らかに人を入れてくなさそうだったが、三奈と透に押しのけられてしまった。果たしてその部屋は……
「黒!! 怖!!」
「貴様ら…」
無理やり押し入られ、わなわなと震える常闇。彼の部屋は、出久とはまた違った意味で趣味全開だ。