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□挑め仮免試験
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試験会場、国立多古場競技時。
ヒーロー仮免許を取得すべく、1-Aの面々はこの会場に降り立った。
「緊張してきたァ」
「大丈夫だよ響香ちゃん! 頑張ろう!」
響香を励まし、しかしその実自分に言い聞かせている。大丈夫だと思いながら、やはりいよいよとなると緊張を感じずにはいられない。
「この試験に合格し、仮免許を取得できればお前らタマゴは晴れてヒヨッ子……セミプロへと孵化できる。━━━━━━━頑張ってこい」
「……!」
相澤の言葉は、不思議とやる気を湧き上がらせた。皆も同じだったのだろう。なってやろうぜヒヨっ子に! と仮免試験への士気が高まっていく。
「焦凍、頑張ろうね」
「ああ」
軽くハイタッチして、笑い合う。大丈夫。きっと上手くいく。
「よォし、いつもの一発決めて行こーぜ!」
切島が音頭をとり、全員で円陣を組んだ。拳をつくり、そして
「せーのっ」
「「「「「Plus
━━━━━Ultra!!」」」」」
「………え?」
(この人誰)
切島の後ろ、見知らぬ男子生徒が、何故か一緒に拳を振り上げていた。焦凍も怪訝そうに彼を見る。
「勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよ、イナサ」
「ああ、しまった!!」
イナサ、と呼ばれたその少年は、何を思ったか、いきなり大きく点を仰いだ。
「どうも大変━━━━━━━━失礼致しましたァ!!」
「ひっ…」
思わず引いてしまったのも許して欲しい。なぜって、彼は天を仰いだその姿勢からまるでバネのように勢いよく頭を下げ、その勢いままに頭を地面に叩きつけたのだ。
「何この人怖い」
「声に出てるわ紡ちゃん。それによく見て。あの帽子……」
「……! 西の……」
特徴的な制帽は、紡も見たことがある。
「東の雄英。西の士傑」
勝己の言う通り。彼らは、雄英高校に匹敵するほどの難関校……士傑高校の生徒だった。
「一度言ってみたかったっス! プルスウルトラ!!」
「え、いや、血……」
「自分雄英高校大好きっス!! 雄英の皆さんと競えるなんて後衛の極みっス!」
「だから、血……」
「よろしくお願いします!!」
「血……」
頭からドクドクと出血しているが、大丈夫なのだろうか。……大丈夫そうだ。