銀魂ほかパラレル

□虹色カーテン
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『…なにやってんでェ』






『…ぶぇつにぃ』







懐かしい教室


懐かしい風


そして


懐かしい君。








『卒業したってのにまだこんなとこに居るたァ、もしかしてりゅうね…』


『んなわけねーダロ単細胞』






ふと立ち止まって、目に入った一通の淡い桃色の便箋。右下の隅に小さい丸文字で名前が書いてあった。



『おまえ…』



『…』




『…、』











知ってたけど。



でも。

お前にそんな顔させる奴が

とてつもなく腹立たしくて
それでいて羨ましくて







『…銀八』





便箋に書いてあった名前を呼ぶと、目の前に座る少女の肩が少し揺らいだ。―ように見えた。



『銀八に、会いに来たんだろ??』




『…』




『こんなとこで黄昏てねェで、早くそれ渡しに…』



『返されたアル』



『…は』



『だから…。返されたアル』









寂しげに俯く少女の周りに、芽吹いたばかりの桜の花びらが舞い落ちる。
そしてすぐに風に変わり、少し強気な春の風が教室の隅に便箋ごと吹き飛ばした。




『返されたって…。』




『…ガキに興味ねぇってヨ』




乱れた髪を直す事もせず、ただ淡々と呟く。




『…っ、オメーはっ!!』



『っ、?!』



驚いた様子だったが構わない。
白く小さな手を掴み立ち上がらせ、腕の中に閉じ込めた。







『オメーは…っそれでいいのかよ…!!』




『…は、なし…っ』




『オメーが辛いとっ、俺も辛いって、わかんねーのかよっ!!』



大きな空色の瞳が揺らぐ。

ああ、こんなにも近い。
こんなにも愛しい。


杏色の細い髪の毛が、涙に濡れた少女の頬に貼り付く。




『やっと…。殺したってのに…っ』



3年間の想いを

やっとの想いで。





「「元気でやれよ」」




「「オメーもナ」」




次第に去っていくお前の背中に


ずっと ずっと 目が離せなかった。









銀八だって、心にもねぇこと言ってるだけだ。

あいつがこの女を見つめる時、他の女生徒を見るような目じゃなかった。
1人の女として注がれる目。


俺は知ってた。お互い好きなんだってこと。



だからこそ諦めようとした。

卒業という、切っても切れない出来事を皮切りに。


こいつが幸せなら。



だけど。















『…忘れろとは言わねェ』



『…??』



『だが、ぜってェ…っ』







俺が。



















『…いいアルか…っ』






『ああ。』
















俺が





あいつの分まで。

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