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□仕事
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「ナツ、そっちはどう?」

『ああ、特に問題ないぞ』

あたしはドレス姿で通信ラクリマを片手にナツと連絡をとっていた。

最初の依頼では、依頼主、マスキーさんの護衛、となっていたはずだったのだが。
訳あって、あたしはクリブというローシェ家の跡取り、ナツはマスキーさんの娘、それぞれの護衛をするために、別れてパーティー内を見てまわることになったのだった。

「…何も壊してないでしょうね?」

『ま、まだ壊してねえよ!!』

「…まだ?」

『ってかただ見てるだけなのになんで物壊さなきゃなんねえんだよ!!』

「だってあんただし」

『だってナツだし』

『ハッピーまで!?』

仕事中であるにも関わらず、いつもの会話をしてしまう自分に苦笑した。
ナツやハッピーのせいでもあるのだろうが、この空気がやっぱり好きで安心することを改めて自覚して。
クリブから目を離さずに会話を続けていると、見るからに怪しそうな連中がクリブに近付いてきていることに気がついた。

「ナツ、いったん切るね」

『は?ちょっと待てよルー…』

ナツの言葉を遮って、ラクリマを小さなバッグの中に入れた。

「…バルゴ」

「はい、姫」

黙って私の後ろを付いて来ていたバルゴに声をかけた。
あたし1人では何かあったとき素早く対応できないと思ったため、あらかじめパーティーが始まる前に喚んでおいたのだ。
ちなみに、今のバルゴはいつものメイド服ではなく、淡い紫色をした可愛らしいドレスを着ていた。
パーティーをメイド服姿で歩き回ると目立つ、ということを理由に、バルゴにドレスを着てもらったのだ。
もちろん、あたしが選んだものを。
バルゴは少し気の乗らない顔をしていたが、渋々といった様子でドレスを着てくれた。
そのせいか、あたしが可愛いせいか、話しかけてくる男たちは後を絶たない。

バルゴを引き連れて、じりじりとクリブの所へと近寄っていく。
途中で声をかけられたが、今までのようにそれをきれいにかわしていった。
5メートルほどの所まで距離を狭めて、あたしは足を止めた。
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