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「沖田はん、また是非うちの店遊びに来てくださいね。小梅も喜びますから」

「ははっ、あのべっぴんさんが相手して欲しいってんなら、行かないわけにいきやせんねィ。
近い内にまた寄らしてもらいまさぁ」

「うふふっ、待ってますよ」



なっ、何だったんだっ!今の会話はーー!!
つか、総悟と一緒にいたのって壬生屋の遊女だよな。
えっ?何?総悟の奴、壬生屋なんか行ってんの?
えっ?何、浮気発覚?




巡回の途中で消えた総悟を探し回って、やっと見つけたと思ったら冒頭の会話。
ただでさえ総悟を探し回って苛ついていたのに。
今の会話で発火点の低い俺の頭の血管はぶっちりいっちまった。


「あっ、土方コノヤロー。巡回中だろぃ、勝手に消えねぇで下せぇよ。
つか、どうせ消えるならこの世から消えて下せぇよ」

大衆の中、俺に気付いたらしい総悟が訳の分からない文句言いながらこちらに向かって歩いてくるが。
なんて事のない言動一つ一つが癪に障る。

「…ん?土方さん?どうかしやした?」

「うるさいっ!触んなっ!」

ドンっ。

顔を覗き込まれ、腕を掴まれそうになって
気付いたら反射的に総悟を突き飛ばしていた。

「〜っ!何すんですかぃっ!」

転びははしなかったものの、よろけた総悟に思いっ切り睨まれる。
何って、何だよ?
お前は何してんだよっ!

「うっせぇ!俺は屯所に戻る!テメェはどこでも好きな所に行きやがれ!じゃあな」

早口にそう怒鳴って踵を返した俺の背中に総悟の声がかかる。
が、とてもじゃないけど、振り返る気にはならなかった。
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