□小指から滴る血−赤い糸の代わりになれば
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自分の小指見つめて、運命の赤い糸ってもんがホントにあったら良いのにって時々考える。

もしあるなら相手はやっぱり土方さんが良い。

つか、もし土方さん以外だったら一回その糸切って土方さんのも切って新しくつなぎ合わせるし。

「ねぇ、土方さん。運命の赤い糸って信じやすかぃ?」

屯所の土方さんの部屋で二人で布団に包まってまどろんでいるに何となく口にしてみたら。

「は?何言ってんだ総悟?」

案の定、土方さんは不思議そうな顔をしたけど。

「良いから。信じやすかい?」

笑ってもう一度聞いてみた。

そしたら土方さんは少し黙ってから信じないって静かに答えた。

以外にロマンティストな土方さんだからもしかしたら信じてるかもなんてちょっと思っていたんだけどなぁ。

「で?お前はどうなんだよ?」

「へ?」

「だから信じてんの?赤い糸」

「俺はァ信じてやせんけど、あったら良いなぁとは思いやす。
で、もしあったら相手はアンタが良いなぁ」

なんて笑いながら答えたらいきなり手を引っ張られて驚いているうちに、
小指が土方さんの口の中に消えてピリッとした痛みが走った。

解放された小指には土方さんの歯形がくっきりとついていてうっすらと血がにじんでいた。

「なにすんですかぃ」

訳がわからず理由をとえば

「俺は運命なんて信じてないし、運命は自分で切り開くものだと思ってるから。
俺を選んでくれたお前に俺からお前に赤い糸?のプレゼント」

にやりと笑ってこっちが恥ずかしくなるようなことをさらっと言いやがった。

「ほらお前もつけろよ」

うっかり赤面していたら目の前に土方さんの小指が差し出されていて。

ものすっごく恥ずかしいから思いっき噛んでやった。

俺と土方さんの小指を赤くくっきりとした歯形が彩る。

こんなもの数日経てば消えてしまうものだけど、今のこの思いは消えない。


小指から滴る血―赤い糸の代わりになれれば

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