題
□この唇を塞いで欲しい−余計な言葉を吐かぬように
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今日、土方さんは接待の延長で夜に花街に行くと言っていた。
仕事だし仕方ないのは分かってる。
でもさ嫌なものは嫌なんだ。
好きで好きでどうしようもなく好きで、やっと手に入れたアンタが別の奴を抱くなんてさ。
だから深く考えないように早々に布団に入ったのに。
寝ころんだら3秒で寝れるなんてそんな特技全然発揮されなくて。
微かな物音がするたびに帰ってきたかな?なんて期待するもんだから
自然と無意識に周りの気配に敏感になって。
さっさと寝てしまいたいのに眼は冴えるばかりで全然寝れない。
「はぁ〜、土方さん早く帰ってこないかな〜」
寝ることをいったん諦めて気分転換にと部屋を出て縁側に腰掛けた。
もうすぐ冬だから外は冷え冷えとするぐらいに寒かったけどその寒さがなんか心地よくて。
俺の心とは裏腹に雲ひとつない空にはムカつくくらい綺麗な星が輝いていて。
溜め息交じりの俺の呟きは白くなって空に消えていった。