本
□その理由は R18
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本日、大捕り物があって天人からごっそりと怪しげな薬を押収した。
薬の中には麻薬や
身長ノビ〜ルや強力な媚薬類もあって中々に危険な代物ばかりだった。
「はぁ〜、何で俺がァ」
薬が沢山入っている箱を抱えながら、総悟はため息を吐く。
本来なら押収物を倉庫に運ぶなどは、平隊士にでもやらせておけば良いのだ。
が、しかし今回は怪我人が多く、無傷だからと近藤に頼まれれば嫌とは言えず。
総悟は仕方なく引き受けたのだった。
「俺だってやってんだから、文句言うな。これ片付けたら上がって良いから」
ため息を吐き文句を言う総悟に、同じく薬を運んでいる土方が苦笑する。
「へいへい。あぁ、着きやしたけどこれ何処に置くんですかぃ?」
鍵を片手で器用に開け、倉庫の中に入ると総悟は土方を振り返る。
土方は倉庫の灯りを
点けつつ中を見回す。
倉庫の中は最近の捕り物の押収品が所狭しと置かれていて。
何処に置こうかと土方は思案する。
と、左の棚の一番上の段が空いていることに気付く。
「あぁ、じゃあそこの一番上に」
「へ〜い」
両手が塞がってるので
仕方なく顎で示せば、
さっさと上がりたいのか総悟は素直に従う。
「よっ!」
かけ声と共に箱を持ち上げ棚に置こうとする。
が、箱が重いうえに棚がちょっとばかし高いのでなかなか置けずに総悟は苦戦する。
見かねた土方が横から手を貸してやれば、箱はすんなりと棚に収まった。続けて土方は自分の箱も楽々と棚の上に上げる。
「よし、戻るぞ。総悟」
用も済み倉庫から出るように総悟を促せば、
何故か土方は総悟に睨まれる。
「総悟?どうした?」
睨まれた理由がわからず何故かを問えば、
「アンタってホントに
むかつく!」
帰ってきた言葉は
この一言で。
さっぱり意味が分からない。
「あぁ?んだよそれ。
理由になってねーし」
土方が倉庫の鍵を閉めつつもう一度問えば、
「死ね!土方コノヤロー!」
ドカッと背中に衝撃。
「ぉわっ!」
土方は前のめりになり
ガンッと額を扉にぶつける。
「っ〜、オィ!総悟てめェっ!」
土方が額を押さえつつ
後ろを振り返った時には総悟の背中は遙か彼方だった。
「はぁ〜、ホントになんなんだよ、あいつ…」
呟いた土方の声は夜闇に溶けていった。