□企画文2 土沖 R18
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姉さん…姉さん、ミツバ姉さん!
なんで死んじゃったんだよ。
たった一人の家族だったのに。
俺を独りにしないで。

深夜、街の灯りも落ちた頃。
沖田総悟は超高層マンションの屋上にどこか虚ろな表情で立っていた。
当然屋上には柵がある。が、総悟はそれを
ゆっくりとした動作で
跨ぎ越え。
2、3歩歩いて屋上の縁に立つ。
ヒュゥゥゥゥ〜。
下からの強風に体が煽られる。
が、常人なら恐怖心を抱くであろう高さ、暗闇にも総悟の表情は変わらない。
強風で髪が乱れる。
が、そんな事は気にもとめずに下を見下ろす、
その表情はどこか楽しげで。
風が止んだその瞬間
総悟は屋上からひらりと飛び降りた。
物凄い速さで落下していく体に総悟は微笑んで、ゆっくり目を閉じ

「姉さん今会いに行くから」

そう呟いた。



ボスッ。
ちょっとの浮遊感の後に訪れたは思ってたよりも全然少ない衝撃で。
しかし、あの高さから飛び降りたのだからまず
間違いないく死ねるだろう。
総悟はそう確信してゆっくり意識を手放した。

自分がどんな状況かも
気付かずに。

「ねぇ…さん」

譫言のように呟く言葉を聞いている人が居ること。
ましてや、その人が空中で自分を抱き抱えていることなんて。
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