短編集

□俺だけのお姫様
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今日は、久しぶりに部活のない日。

ゆっくり休むのも一つの手だけど、たまには最近構ってやれない彼女と一緒に過ごそうと思う。

連絡なんて入れてないけど、彼女…澪の家のチャイムを鳴らす。

ドタバタ、という足音が聞こえてきた。

ドカッ、という音に続いて「いったぁっ」という声。

…何かにぶつけたかな。

ガチャ、と開かれたドアの向こうには、涙目になった可愛い恋人の姿。

「り、リョーマ…?」

「大丈夫?どっかにぶつけたでしょ」

「う…だって、慌ててたから。…部活、今日休みなの?」

「そ。会いたかったから…ダメだった?」

澪はブンブンと音がしそうなほど首を横に振る。

「と、とりあえずあがって」

「…お邪魔します」

勝手知る家に入り、リビングに行くように言われた。
…いつもは澪の部屋なのに。

「あの、ね?…リョーマ来ないからって油断して、部屋ぐちゃぐちゃなの…そんな部屋見せられないからっ」

顔を真っ赤にして握りこぶしを作って言う澪。

…そんな力説しなくても。

「別に気にしないのに」

「リョーマが気にしなくても、あたしが気にする!いつもはリョーマが来るって解ってたから片付けてただけで…ホント、許してっ!」

…そんなに言う、どんだけ片付けてないの。

でも、いつも片付いてたから…新しい一面が見れてよかったかも。

「もー、急に来るんだもん…何のおもてなしもできないよ。あ、適当に座ってて」

「ん」

ソファに座り、パタパタと忙しなく動く澪を見る。

あれ、あんなヘアピン持ってたっけ。

「はい、ココアしかなくって…」

「サンキュ」

どこか申し訳なさそうに言う澪の頭を撫でる。

「こんなピン持ってた?」

「あのね、この前行きつけのお店で見つけたの。可愛くってつい買っちゃった」

えへへ、と笑う澪に俺の頬が緩むのがわかった。

「よかったじゃん。…似合ってる」

「ありがと!リョーマがこの色あたしに似合うって言ってくれたからこの色にしたんだ」

確かに、水色は良く似合うと思う。
空みたいに何でも受け入れてくれる優しさがあって、ほっとして…水色と空色ってあんまり違いないしね。

「覚えてたんだ?」

「当たり前!」

ホントに些細な会話の中で言った言葉なのに…それを覚えててもらって、こんなにも嬉しいなんてね。

ココアを一口飲む。

あ、これ…。

「澪だって俺の言葉ちゃんと覚えててくれてるじゃん」

「え?」

「甘いのそんなに好きじゃないって言ったこと。…澪の奴と同じ粉なのに色も違うしね」

澪は甘いのが好きだから、このココアだって本来は甘いはず。
でも、そんなに甘くないように味は濃くないし、澪のと粉の量が違うのは一目瞭然だ。

「だって…彼女だもん、それくらい知ってるよ」

言った後、自分の言葉に照れたのか顔を紅くしてココアを口に含んだ澪。

「あつっ」

が、すぐに口をカップから離した。

「猫舌のクセに何やってんの」

「い、いけると思ったんだもん…」

涙目で訴えてくる澪。
…あーもう、なんでこんなに可愛いの…。

「大丈夫?」

「たぶん…」

「消毒しよっか」

「え?」

顔をあげた澪の唇に噛み付く。

「っふ」

僅かに開いた口から舌をいれ、澪の逃げ惑う舌と絡めた。

クチュクチュ、という厭らしい音だけが響く。

息苦しくなったのか、澪が俺の胸元を叩いてきた。
渋々口を離せば、どちらのものか解らない銀色の糸が伸びた。

トロン、とした目で俺を見つめてくる澪。

あ、やばい。

理性切れる。

「りょ、まぁ…」

呂律の回りきっていない口調で言われ、ぎゅう、と服の袖を握ってくる澪に…



俺の中の何かが切れた。


そりゃあもうプッツリと。


ドサッ、と澪をソファに押し倒して跨る。

「ちょ、何やって…」

「大丈夫大丈夫、ちゃんと優しくするから」

「そーゆー問題じゃな…きゃぁああああああっ!!どこ触ってんのぉぉおおおお!?」

俺の言動一つ一つに反応してくれる澪が愛おしくて。

顔中にキスを落とした。


さて…と。



安心して?


たっぷり愛してあげるから。


だってお前は…



俺だけのお姫様



なんだから。




***********************


何これリョーマじゃない←


リョーマ視点で書いてみました。

微裏入っちゃったかな?

…まあ、問題ないだろう。

この後の展開は、ご想像におまかせしますw



 
 

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