□私と義妹(仮)と、仁義なき戦い
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※リョーマ君妹を捏造しています。
名前はリョーカ固定。
ちなみにリョーマ君妹はブラコン過ぎて少し(?)気持ち悪いです。
リョーマ君は妹に随分冷たいご様子。
妹→→→リョーマ君→→→←←←夢主。
妹VS夢主&リョーマ君(ちなみに婚約者設定)。

苦手な方はご閲覧の中断を推奨いたします。





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お兄ちゃんが、女を連れて家に帰ってきた。
高校にあがると同時に家を出て、そのまま就職したお兄ちゃん。
高校を卒業してすぐに就職して、もう数年。
今までお正月くらいしか家に帰ってこなかったクセに、急に帰ってきたのだ。
もちろんお兄ちゃんのことは大好きだし、嬉しかった。
…けど、女と一緒だというなら話は別だ。
あたしの大好きなお兄ちゃんは、今まで女を連れてきたことなんてない。
だってお兄ちゃんは昔からずーっとテニスに夢中で、女の影なんてなかったし。
…まあお兄ちゃんはカッコイイしモテモテだったけど、あたしがお兄ちゃんを守ってたからね!
お邪魔虫がつかないように。
お兄ちゃんが中学の時は、三つ編みのやつとかツインテールのやつとか付きまとってたけど、ぜーんぶあたしが守ってあげてたの!
だってお兄ちゃんは、あたしの大好きなお兄ちゃんだからね!
それに、お兄ちゃんだってあたしのことだーい好きなんだから。
お兄ちゃんには、あたし以外の女なんていらないの。
あーあ、日本が兄妹でも結婚できる国だったらなぁ…。
あたし、絶対お兄ちゃんと結婚するのに。
それともアレかな?
お兄ちゃん、あたしと結婚できないからってわざわざ他の女作ったのかな?
あたしに嫉妬させるために!
もぉ、ホントお兄ちゃんってばあたしのこと大好きなんだから。
仕方ないなぁ、またあたしが守ってあげないとね!



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私が彼と出会ったのは、就職した会社でのことだった。
入社できる人数は少なかったらしく、同年代の同期は彼だけで、それがきっかけですぐに仲良くなれたのだ。
何度か食事をしているうちに意気投合して、彼から告白されて交際することとなった。
そのうち彼が高校時代から住んでいるというマンションで同居を始めて。
…プロポーズをされて、恋人から婚約者という立場になったのはほんの2週間ほど前のことだった。

「今度は、リョーマのご両親に挨拶にいかないとね」

二人でお金を出し合って購入したソファに座って、カップを傾けながらそう言ってみた。
ちなみにこれは英国王室御用達の有名ブランドのものなので、結構お高い。
だから本当は諦めるつもりだったのに、リョーマが私の誕生日にプレゼントしてくれたのだ。
高価なものだし特別な日にだけ使いたかったけど、微笑まれて普段から使ってよなんて言われたら使うしかないじゃない!
もうリョーマ大好き。そういえばリョーマは笑って「知ってる、俺も好きだよ」なんて歯の浮くような台詞を吐くに決まってるけど。

「……あー」

リョーマはつい先日、私の両親に挨拶したばかり。
私の家族とリョーマは比較的仲がいい方だと思う。
お父さんもお母さんもリョーマを可愛がってるみたいだし、家に泊まったこともあるし。
でも、私はリョーマの家族にほとんどあったことがない。
お父さんとお母さんと、妹がいるらしい。
あ、あとお兄さんみたいな存在だというリョーガさんも。
リョーマのご両親とリョーガさんとは何度か会ったことはあるけれど、実は妹さんとは一度も会ったことがないのだ。

鈍い返事をする彼は、あまり妹のことが好きではないらしい。
リョーマ本人に聞いたというより、けらけらと笑いながらリョーガさんが教えてくれたのだ。
その時リョーガさんは少しお酒も入っていたし、冗談かと思ったんだけど…。
彼も否定しなかったあたり、案外本当のことかもしれない。

「…親父と母さんならいいんだけどね。アイツには会わせたくないな」

カップをソーサーにのせ、テーブルに置く。
カチャ、と食器のこすれる音がして、それを見やったリョーマは小さく息を吐いた。
そして私の背中から肩に腕を回す。
ちなみに彼のカップの中身は既に飲み干されていて、少し前からテーブルにお行儀よく座っている。
肩を抱き寄せられ、体半分にリョーマの体温を感じて少し恥ずかしくなった。
交際して結構経つけど、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。

「なんで?せっかく私の義妹になるのに…ちゃんと仲良くしたいよ」

「それはわかるけど。そもそもアイツ頭おかしいっていうか…」

どこか歯切れの悪い言葉にむっつりと眉を寄せてみれば、リョーマはこの話題になってから何度目かの溜息を吐いて説明を始めた。

曰く、妹さん──リョーカちゃんというらしい──は所謂ブラコンというやつらしく、リョーマからすれば相当気持ち悪いのだとか。
昔からリョーマにべったりで、いくら追い払おうと「もうお兄ちゃんってば照れちゃって〜」と斜め上の発言を繰り返していたらしい。
それとリョーマが女の子と話をすることを異常に嫌がるらしく、学生時代はリョーマの同級生の女の子たちが随分被害を受けたとか。
そんな話をよく耳にするようになって、もともとリョーカちゃんを少々鬱陶しく感じていたらしいリョーマは、高校にあがると同時に一人暮らしを始めたのだとか。
リョーマのご両親もリョーカちゃんにはほとほと呆れていたらしく、彼の一人暮らしをあっさり認めたらしい。

「だから、もし…梓紗に何かあると思うと、嫌なんだよね」

「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だよ?これでも社会人だし!」

「そういう問題じゃなくて。結婚してからもアイツいる限り実家に行く気ないし、親父たちにはもう何回も会ってるじゃん」

リョーマはそういうけれど、プロポーズされてからはまだ一度もお会いしていないのだ。
確かに電話では報告したけれど、こういうのは直接出向くのが常識じゃない?
そもそも、リョーマは私の両親に挨拶したのに、私がリョーマのご両親に挨拶しないなんておかしいと思うの。

「だから、なんと言われても行きます。リョーマが嫌だっていうんなら、私ひとりでだって…」

「わかった、わかったから。ひとりとか絶対ダメ。俺も行く」

やがてリョーマは諦めたように、大きく大きく溜息を吐いて項垂れた。
半ば強引に約束を取り付けたようなものだけど、何だかんだで了承してくれるリョーマは本当に優しいと思う。

「ありがと」

そういって彼の頬に唇を寄せれば、リョーマは「ココには?」と自身の唇を指でさしてきた。
思わずばかと言いながら彼の肩を叩いて、紅茶のおかわりを淹れようとソファから立ち上がった。
もちろんリョーマは不満だったのか、紅茶を淹れなおしている間背中にべっとりとくっついていたのだけど。
付き合い始めたときはそうでもなかったんだけど、最近特にスキンシップが増えてきた気がするなぁ。
嫌じゃないから、そのままにしてるんだけどね。
でも人前では恥ずかしいからやめて欲しいかな。
…って、それほど強く言えないのは惚れた弱みなんだろうなぁ。




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