□真似っこ少女
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「あーん、また負けた…」

ゲームに接続しているテレビから、ゲームオーバーの文字が現れる。
私の相手である彼氏は実につまらなさそうに溜息を吐いた。

「愛海、弱すぎ…。もうちょっと何とかなんないの?」

テレビから流れるゲーム終了の音。
リョーマは慣れた手つきで画面をゲームのトップ画面に戻す。
そしてテレビ画面を切った。

「ホント愛海ってゲーム弱いよね」

呆れたように言うリョーマ。
クスリと笑みを浮かべたリョーマは、ベッドに腰をかけた。
私もリョーマのベッドに腰をかければ、ベッドの隅で眠っていたカルピンがほぁら〜と鳴いた。
てしてしと軽く叩いて来たカルピンを撫でればゴロゴロと喉を鳴らした。

「カルピン可愛いねぇ」

「ほあら〜」

「カルピンが可愛いのは前からだから」

リョーマはクスリと笑ってカルピンを撫でる。
カルピンはそれが気持ちいいのか、ゴロゴロ鳴きながらお腹を上に向けた。
リョーマの頬は完全に緩んでおり、そんなリョーマがどうしようもなく愛おしく思える。

「リョーマっ」

「っわ」

リョーマの腰に抱きつけば、一瞬驚いたように声をあげる。
が、すぐに小さく笑みを浮かべて私の頭を撫でた。

「今日は随分甘えたじゃん」

「んー、なんとなくー」

「ふーん?ま、別にいいけど。……カルピンみたい」

リョーマは笑いながら私の頭を撫でている。
そのうちにリョーマの手つきが彼女を撫でるものより猫を撫でるような優しい手つきになってきた。
リョーマってホント猫の事好きなんだよねぇ。

「にゃー」

ちょっと調子に乗って猫の鳴き真似をしたら、リョーマにデコピンをされた。



真似っこ少女



(ねーねー似てた?)

(似てないでしょ)

(……にゃー)

((なんだこの可愛い生物))
 

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