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□小さなプレゼント
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今日は久しぶりに、いつも構ってやれなかった彼女とデートの日だ。
久しぶりの休みなのだからゆっくりしたいという気持ちはあったが、可愛い彼女におねだりされれば叶えてあげるしかないだろう。
ねぇ、お願い、ダメかな?
そう言って首を傾げた彼女は贔屓目なしに可愛い。
たまにしか構ってやれないのだから、一緒にいてやりたい。
「あっ、リョーマ!こっちこっち」
待ち合わせ場所につけば、彼女が嬉しそうに手を降って俺を呼ぶ。
ポニーテールに結われた髪を軽く巻かれていて、彼女───愛海はスカートをひらりと靡かせて立ち上がった。
うん、可愛い。
「待った?」
愛海の頭を撫でてやれば、愛海は嬉しそうに笑った。
うん、やっぱり可愛い。
「そんなに待ってないから気にしないで!」
いつもいつも、愛海との待ち合わせで俺が待たされることはない。
待ち合わせに遅れたことはないが、愛海はいつも待ち合わせ時間のしばらく前にいるらしい。
…今度、何分前から待ってるのか調べてみようかな、聞いても答えてくれないだろうし。
愛海は自然な同作で俺の腕に自分の腕を絡めて来た。
右腕に感じる、愛海のぬくもり。
「で、今日はどこ行くの?」
「映画!」
にっこりと笑った愛海は鞄に手を突っ込み、ある紙切れを2枚取り出した。
それは最近よくCMでやっているホラー映画のチケットだった。
「ああ…観たいって言ってたね」
「うん!」
どうやら俺に拒否権はなかったらしい。
先に前売り券を買っていたのだろう。
……あとで金返さなきゃ。
ついでにジュースくらい奢ってやろう。
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映画が終わったあと、愛海とウィンドウショッピングをする事になった。
とりあえず愛海のためにジュースは奢ったし金も返したからとりあえずは問題ないだろう。
「あ、見て見て!バザーやってるよ」
ウィンドウショッピングで色々と店を見ていれば、愛海が小さなバザーを見つけた。
服やアクセサリー、骨董品やフランス人形などが多く売られていた。
愛海はまっすぐにアクセサリーの出店に向かう。
「わ、可愛い…」
愛海はハートを象ったネックレスを手に持ち、呟いた。
物欲しそうにネックレスを見る愛海。
よく似合うんじゃないの?
そう言ってやれば、愛海はえへへーと笑った。
愛海の手からネックレスを抜き取り、購入するために財布を出した。
「っいいよ!いらないから、」
慌てて首を降る愛海だが、もう既に購入したのだから遅い。
そのままネックレスを愛海につけてやれば、愛海は困ったように眉を寄せた。
「……ごめんね。ありがとう」
「どーいたしまして」
首元に輝くネックレスはとにかく愛海に似合っていて、ますます愛海を可愛くするものだった。
小さなプレゼント
(可愛いじゃん)
(っ…!あ、ありがと!)
((ああもうなんでこんなに可愛いんだよ))