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□Kiss×Kiss×Kiss!
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私、篠宮愛海にはそれはそれは素晴らしくカッコいい彼氏がいる。
中学の時から付き合い始めてもう2年以上が経っているが、周囲にも羨ましがられるほどラブラブだと思っている。
付き合い始めた当初は彼のファンからの嫌がらせも少なからずあったが、そのおかげで益々彼に愛されているのでは…と考えている。
実際、彼は私を過剰なのでは思えるほど心配してくれるし。
休みの日である今日、私は彼氏である越前リョーマが現在住んでいるマンションの一室に遊びに来ていた。
中学時代に一度家族でアメリカに戻ったリョーマだったが、「愛海がいないとダメだから」と日本に戻ってきてくれた。
それからリョーマはご両親の用意したマンションの一室に住んでいる。
料理がそれほど得意ではないリョーマのために、私はよくご飯を作りに来ている。
といっても私自身あまり料理は得意ではないのでわざわざ料理教室に通ったりしたのだが。
「愛海ー、」
先ほど食べ終えた昼食の片付けをしていた時に名前を呼ばれた。
なーに?と変事をすれば、リョーマがソファから立ち上がる気配がした。
「愛海……」
背後から名前を呼ばれた瞬間、リョーマの腕が私の胸の前に伸びて来た。
ぎゅう、と抱きしめてくるリョーマに思わず笑みが漏れる。
「何よ…。片付けられないじゃんか」
「そんなの後でいいじゃん」
「えー?」
リョーマの髪の毛が耳に当たったり、吐息が首筋に当たったりする事が擽ったかった。
高校に上がってから2人きり限定で僅かに甘えただったりするし可愛いし無下には出来ない。
仕方なく食器を洗っていた事により泡だらけの手を流した。
「もー、仕方ないなぁ…」
「なんだかんだで相手してくる愛海って可愛いよね」
私の事を可愛い可愛いというリョーマの方が可愛いと思ってしまっているのは秘密だ。
リョーマに抱きしめられたまま、「ね、ソファ行こ?」なんて耳元で囁かれた。
イケボで優しく囁かれるとか反抗出来ないよね、もちろんしないけど。
仕方なさそうにソファに向かえば、それだけでリョーマは嬉しそうで。
ソファに普通に腰掛けたリョーマに身体を委ねれば、突然啄(つい)ばむようなキスをされた。
すぐに唇は離されたが、そこで私が仕返しとばかりにキスをする。
またリョーマからキスをされ…そのままひたすらキスをし返していた。
その数十分で一体何度したのかわからないほどのキスをし続ける私達はもう末期だと思う。
Kiss×Kiss×Kiss!
(リョーマ、大好き!)
(ん、俺も好き)
(私ってリョーマの通い妻みたくみられてるかな?)
((……それはそれでいいかも))
(さぁ、どうだろうね)