07/07の日記
22:33
七夕
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今日は七夕ですね!
でも七夕は大抵、雨な気がします。
今年も残念ながら天の川は拝めなさそうですね。
織姫と彦星が恥ずかしくて隠している、ということにしておきましょう。
それはさておき、雨だろうとイベントはイベントなので大したものではありませんが短編を持ってきました。
今回はマイソロ3のユリルクです。
ちょっとだけシリアス寄りです。
織姫と彦星について好き勝手言ってますが、悪気はありません。
よろしければ、お進みください↓
『白紙の短冊』
もうすぐ七夕というお祭りがある。
町で仕入れたその情報は瞬く間に船中へ知れ渡った。
願い事を書いた短冊を笹に飾るという祭事。
同時に由来となった物語も伝言ゲームのように広がった。
織姫と彦星が年に一度会える日。
それはちゃんと伝わったのだが、何故年に一度しか会えなくなったのかは尾ひれやら個々の解釈が付け加えられ、真実がわからなくなってしまった。
「俺はイチャつきすぎてウザかったからって聞いた。」
「俺は仕事をサボった罰だって聞いたぜ。」
ルークとユーリは七夕用にともらった短冊を眺めながら、部屋のソファに並んで座っていた。
「…そんなんで願いなんて叶うのか?」
「まぁ祭りなんてそんなもんじゃねぇのか。」
別に誰も叶うなんて期待していない、と元も子もないことをいうユーリにルークも納得する。
ただ、この船にはキラキラと目を輝かせて願い事を書いているメンバーがいるのも事実で。
それを思うと、もう少し願いが叶いそうな物語の方が良かったのではとも思った。
「結局、人伝に聞いたから詳しくは分からねぇが…織姫と彦星が年に一度会える日が七夕ってのは間違いねぇようだな。」
「年に一度とか、それで付き合ってるって言えるのかよ。」
「付き合ってるというか夫婦らしいぜ。」
「…浮気してるに一票。」
「おいおい、夢をぶち壊すなよ。それとも、お前は恋人と年に一度しか会えなかったら浮気するってことか?」
その恋人であるユーリは、言葉とは裏腹に余裕な笑みを浮かべている。
「年に一度しか会えないんじゃバレねぇだろうし…お互い様かもしれねぇだろ。」
「信用してねぇのな。」
「つーか、一年も放っとかれて…それで信じてる方がバカだろ。」
相手のことが本当に好きなのかと織姫と彦星に言ってやりたい。
年に一度しか会えないなら、相手を解放してやった方がお互いに幸せになれるのではないか。
俺ならそうする、とルークは何も書かれていない短冊を見つめた。
ユーリとの関係も、この船を降りたら終わり。
だってきっと、国に戻れば年に一度では済まない…下手したら一生会えなくなると知っているから。
そう考えると年に一度会えるだけ幸せかもしれない、なんて悲劇だと思ってた物語すら羨む自分に呆れた。
「要するに一年も待たせず会いに来いってことか。」
随分と曲解したユーリの言葉に、ルークは視線を短冊からユーリへ向けた。
「んなこと一言も言ってねぇっつーの。年に一回しか会えないなら潔く…」
別れた方が、と続けようとしたがそれよりもユーリの方が早かった。
「拐えって?」
いつものように不敵な笑みを浮かべ、ユーリはルークの目を覗き込んだ。
「放っとけるぐらいなら、最初から手なんて出さねぇよ。」
だから、と続けながらユーリは左手を伸ばしルークの髪を撫でた。
「お前もさっさと腹括れよ。」
その目の真剣さに、ゾクリと背筋が震えた。
ルークがどんなに白紙へ戻そうとしても、ユーリにはその気がこれっぽっちもない。
きっと最初から覚悟を決めていたのだろう。
そして、ルークが同じようにその覚悟を決めるのを待っている。
「年に一度しか会えない星に願うぐらいなら、目の前の恋人に願った方が叶うだろうぜ。」
自分なら叶えられる、とユーリはまるでルークの願いが分かっているかのように言いのけた。
その自信満々な態度もムカついたが、なにより図星でルークは顔を背けた。
「自意識過剰だろ。」
悪態とともに白紙の短冊を投げつけてやった。
ユーリに当たることなくヒラリと落ちた短冊を見届けることなく抱き寄せられ、重なる唇を大人しく受け入れる。
星に願うための二枚の短冊は真っ白なまま床に落ちた。
おわり
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