魔法の話

□一章目
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「なあ、ダンブルドアさん」

校長室に、一人の老人と向き合う一人の青年。
彼は年齢に合わぬ白髪のような長い銀髪をきらめかせながら、無邪気に言った。

「俺ね、もう一回、このホグワーツに入学しようと思うんだ」
「ほう?」

ダンブルドア、もといこのホグワーツ魔法学校の校長は不思議そうに目をしばたかせた。
一度立派に学校を卒業し、見事教師として舞い戻ってきた大人が、もう一度学校に通いなおそうしているのだ。誰だって驚くだろう。
しかし、ダンブルドアは嘲笑するでもなく、呆れるでもなく、正気かと問うわけでもなく、理由も聞かなかった。
どうせ聞いたところで彼は答えないだろうし、ダンブルドアは彼を心から信頼していたからだ。

「わしは別に構わんが…一体どうやって入学するというのかね?お主の顔が分からんのはせいぜい新入生くらいじゃ。それに、防衛術の授業はどうするんじゃ?」
「どっちもちゃんと分かってる。これは前者の対策」

言い終わると同時に、ユウの全身を白い霧が覆う。
霧はすぐに晴れた。
その中から姿を現したのは、銀髪の青年ではなく、肩までの黒い髪をハーフアップにした少年だった。
爬虫類や猛禽類を思わせていた黄金色ではなく、闇色に光る瞳が愉快そうに老人を見つめている。

「ほう、変身術か」
「まあ、そんなもん」

つまり、彼は全く別の人間として入学する、と言いたいのだろう。

「では、授業の方は?」
「今度、助手に…誰だっけか……クィレル?さんが来てくれるんだから、そっちにやってもらえばいい。で、俺が助手をする」
「なるほどのぅ」

ダンブルドアは答えに納得した様子で笑いながら頷いた。

「ほっほっ、よかろう。入学するのならすればよい」

あっさり、至極あっさりと許可を貰えた。
あっさりすぎて何か裏があるのではと思いたくなるくらい。
しかし、ダンブルドアの話はまだ終わっていなかった。

「じゃが、条件がいくつかある。なに、大したものではない。
まず一つ目、当然の事じゃが絶対に正体がバレてはならん。まあ、お主なら心配いらんじゃろうが。
二つ目は、生徒として過ごすのなら、生徒の規則に従ってもらう。もし破れば他と同じく罰則を受けてもらうぞ。
三つ目、何かあれば必ず報告しに来なさい。以上じゃ」
「ういっす…」

報告とか、めんどくさすぎる。
ああ、それよりも、セブになんて言おう。
猛反対されそうな気しかしない。
やだなー、こわいこわい。
なんたって頭が固いもんなぁ…昔っからだけども。
ユウはさっそく必要な物を揃えに行くべく、逃げるように暖炉に入っていった。
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