雨夜の月見をした話
□二夜
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キキィ ざわ ざわ
ワカサマ おヨビだ
ワカサマ がいる
若様 ヨンでる
ワカサマ ワカサマ
オよビだ 天座が お待ちだ
おいで下さい 来い コイ
白緑様が おヨビです
たくさんの小さな妖怪が、
何対もの目がこちらを見つめる。
「…使い走りか。
気に入られようと必死だな、小者め」
鶸は軽蔑するように吐き捨てる。
同族ではあるが、彼はこういった小妖怪か嫌っていた。
天座に キキッ
ヒヒッ 天座に
天座によろしゅう…
「ふん。お前達が頭を下げてるのはあいつにだろう?」
挑発するような笑みを作る。
「どう?
本音を言え、
告げ口なんてしないさ。
本当は俺なんかに頭を下げる気はないんだろう?」
しかし、小妖怪達が鶸の挑発にのることはなかった。
お戯れを… キキッ お戯れを…
「そのくらいにきとかないと、またあの人に小言を言われるぞ」
「ちっ、腰抜けが…」
舌打ちすると、森の奥へと羽ばたいていった。
やれやれと思いながら後を追う。