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□夢みる乙女
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なんで?
なんでわたしのところには、誰も来ないの?
世間じゃ、たくさん溢れてるじゃない。
はやくわたしの所にも来てよ。
はやくわたしを殺してよ。
別にね、学校で虐められてるわけじゃない。今はまだ中学二年だから受験のプレッシャーだって少ない。
親とか家族に虐待受けてるわけでも、貧しいわけでもないの。
ただ、もういいの。
はやく迎えにきてほしい。
わたしはもう、この人生に満足したから。
だから殺して。
世間じゃ、殺人犯とか通り魔とか、ストーカーがうじゃうじゃしてる。
でも、わたしの前には一度も現れてくれない。
なんで?
きてよ。
わたしはここにいるよ。
誰も気づかないの?
あぁ、お願い。
誰か、誰か、、、。
誰か、、、。
「ねぇ。」
誰か、、、来た。
わたしはゆっくり振り返る。
ごく普通の住宅街。
ただ、近くが開発を始めたおかげで古いアパートが取り壊されたりして、人の住まいは少ないし、人通りも少ない、、、。
パチパチッと等間隔に設置された街灯のひとつがまたたく。
わたしは足を止める。
ドキドキする。
「ねぇってば。」