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□ヒト製造工場
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赤く煮えたぎったドロドロ。
それがでっかい鉄の釜でブクブク不気味に音をたてている。
滑車だの、クレーンだの、ベルトコンベアなんかが周りをかこんでごちゃごちゃしている。
隙間にはオイルにまみれた軍手だの、スパナなんかが挟まっている。
スイッチが沢山ついたでっかい機械が、調子が悪いのか変な音を出している。もう相当古いらしい。メーターのとこのガラスが割れている。
釜をたぎらせる熱と、沢山の機械の熱とでかなり暑い。
天井はかなり高いけど、生み出す熱を全部逃がすほどではなかった。

暑い。

だいぶ意識がはっきりしてきたオレは、ただぼんやり暑いことだけ考えていた。
オレが立つ地面は埃ぽくて、なんかの鉄の破片だとか、割れたガラスがそのままにされてたりして、生まれたばかりのオレの足を傷つけた。
まだ清くて、でもやはり汚れた血がにじんでいることだろう。

「はぁ、、、。」

大きな大きなため息。
それはオレの目の前にいる人が吐き出したもの。
オレは不安になるが、その人の吐き出したため息までもがとても尊くてちょっとうっとりした。
その人はちょっとがたつくパイプ椅子に座って、薄汚れた事務机におかれた紙に何か書いていた。
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