Pandora'sbox

□秒針はきみに止まったまま
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どくん、と脈を打って止まった胸元にあった秒針を



どうしてくれるんだと言いたいほどには、きっと君が好き。








それをしったのはいつの頃だったか。





風が吹き、木の枝の先についていた薄桃色の花びらはあっけなく散り
元の華々しい姿とはちがった、茶色をむき出しにした桜の木


中学二年の春だった。
心の中で何かが覚めて、腐っていくような感覚が心を蝕み退屈と言う二文字が頭にはっきりと浮かんできていた

容姿もよく、運動ができ、勉強もまあできるといった俺は周囲からは完全に特別扱いされたようなものだった

自慢ではないが女子に呼び出されることはもう日課と言っても過言ではない
何か自分を楽しませてくれるようなものはないのか、と校内をふらついていた所強いと噂されるバスケ部の練習を垣間見た
見た瞬間目が奪われた、いや魅入ったと言った方が正しいのだろうか


褐色色の肌をした人のプレーに驚いた
無意識に全てができてしまう、という自負を持っていた為か本能的にまねできないと思えたそれはとても魅力的ですぐにバスケ部に入ることを決めた

だがまあ当然のように、すんなりと一軍に上がれた
雑務は大変だったが前よりシビアな環境に期待のようなどこか不安にも似た感覚が自分の中を血液のように流れていた


そんなある日教育係、というものが付いた。
きっと強い人なのだろうと思っていた為、拍子抜けと言うか呆気なさだけが残った


自分の教育が買いとなった人は、とても影が薄かった、体格も周りが大きい人ばかりのせいか小さく見える、
しかしそれよりも意外だったのが彼が一群のレギュラーであり、幻の六人目などと呼ばれていたからである

(嘘だ…)


名前を何と言ったか、確か

黒子テツヤ

そんな名前だった気がする。
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