ヴァリアー
□ti amo
1ページ/2ページ
「う゛おぉぉい」
聞きなれた雄叫びで目が覚めた。
声のボリュームはいつもの何十分の一で、弱々しく、痛々しい叫び。
弱っている、ととれる。
どちらかというと叫ぶと言うより、語る、といった風情があった。
別に今回が初めてという訳でもない。
自分と互角に闘いあえる相手を見つけたときも、奴はそういう声を発する。
特別珍しい訳でもないが、その事が、声を聞けた事が嬉しくて仕方なかった。
なにせ、もう聞けないと思っていた声を聞けたから。
二度と光を宿すことの無いと思っていた瞳と視線があったから。
いつもの鋭さを持ちながらも、慈愛に満ちた、歓喜の瞳。
瀕死だったにも関わらず、ニヤリと笑っている顔も、荒い息を吐き出している薄い唇も。
見ることができて嬉しかったのだ、と実感した。
「大丈夫かぁ?右手ぶっ飛んだんだろぉ?」
「心臓貫通した奴がいう言葉かよ」
「かもなぁ」
微かに意識があったときに知ったこと。
あいつは心臓にイェイガーの槍が貫通した。
ぎりぎり避けていただろう、というのが俺の見解だったが、まっすぐ刺さったらしい。
「幻術の心臓なんだよな……。
信じらんねぇ。
鼓動もちゃんと感じる。
脈も安定してる。
でも…………………」
服をはだけさせた。
痛々しい傷跡があると思っていたが、そうでは無かった。
→