銀色のお嬢様
□今日の始まり。
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「おはようさん!」
謙也は勢いよく部室の扉を開けた。
「お、謙也かおはよう」
ニコッと女子達が見たら悲鳴でもあげそうな笑顔をうかべる白石。
「謙也さんうっさい」
ラケットのガットを指で弾きながら毒をはく財前。
「な、!?」
謙也は何か言い返そうとするが白石に朝練だから、と止められた。
そして遅刻してきた金ちゃんを交えて朝練を始めた。
朝練を始めてから5分ほどするといつもの如くフェンスのそばにいた女子達が声をあげた。
「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」
「な、何やぁ!?」
テニス部の部員達は動きを止めた。
すると
『けにゃ〜いてる〜?』
どこか間の抜けたような声がコートに響いた。
「…銀音?」
そこには綺麗な銀色が揺れていた。
『忘れもんやで、はい』
銀音はニコニコと笑いながら謙也に紙袋を渡した。
「何や?これ」
『お弁当やで!さっき校門の前でけにゃ等のお母さんにおうたんや』
謙也はそこで今朝弁当を持たずに出てきたのを思い出した。
「おおきに銀音!」
銀音はニッと少年のような笑みを浮かべた。
『ほな、もう戻るわ!片付けあるさかい』
そう言うと銀音は走って帰って言った。