ボカロ

□ココロV
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博士ハ何故私ヲ作ッタノデスカ?

ドウシテ博士ハ悲シイ目ヲスルノデスカ?

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「リン!ちょっと来てくれ‼」
嬉しそうにフロッピーディスクを持ったレンは顔を赤くしてリンを呼んだ。

「何カアリマシタカ?博士」
最初の頃よりもだいぶ語彙が増えたリンは真っすぐ直線に進んでいく。

が、次の瞬間レンの顔色が変わった。
それに気づかずリンは真っすぐ進んでいく。

「博士、何カ問題ガ?」

「……いや、何でもない」
何でもないんだ、ともう一度彼は言ってリンの頬をなでる。

「ハ…カセ?…」

ボソボソと何かを呟きながら、リンの横を通り過ぎていく。

「博士、大丈夫デスカ?」

リンの問いかけには答えず、レンは研究所に向かった。

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巨大なコンピューターが何個も存在する研究室の一室で、レンは必死に英語やら数字やらで何かのプログラムを作っていた。
その様子はまるで見えない何かを、闇の中で必死に探しているようであった。
一方リンはその様子を後ろでじっと見ている。
「…ゲホッ‼、」
不意にレンが激しく咳きこんだ。
「博士モウ休ンダ方ガイイデス」
「…いいんだ、まだやらなくちゃいけないから」
口からわずかに血がにじむのを白衣の袖で拭きながらパソコンにまた向かう。
「ココ数週間休息ヲシテイマセン、コレ以上疲労ガ溜マルト倒レル危険性ガ高マリマス」
リンは言いながら博士に繰り返し同じ言葉を発した。


「…うるさぃ‼」


パンッ――――と乾いた音が鳴った。
ガシャリと倒れたリンの音で自分が何をしてしまったのかにレンは気づいた。
「ご、ごめん…。イライラしちゃって…」
「博士、吐血ハ消化器官ノ疾患ガ主ナ原因トサレテイマス」
「いや、それよりもリンは大丈夫か「早急二医師ノ診察ガ必要ト思ワレマス」

「リンは…痛くないのか…?」
悲痛な表情でレンはリンに問いかけた。
「外部、内部トモニ異常アリマセン」
「ココロは、痛くないのか!?」
腹の底から叫ぶようにレンは切なく言った。
「『ココロ』トイウノハ叩カレタラ痛クナルノデスカ?」
リンはまったく意味がわからないというように首をかしげた。
それはまるで純真無垢故の言葉でもあった。

「ごめん。本当にすまなかった」

レンはリンを抱きしめ、目から大粒の涙を流す。
「・・……」

―――――――アナタハ何故泣クノ?

リンの電子回路に少しのバグが生じた。

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