短編

□そっくりでしょう?
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※若干捏造




今日は週に1度のオフ日
本当だったら休まずにバスケしてぇんだけど生憎、体育館は他の部に使われている
カントクは「この休みは貴重だからしっかり休んで勉強しなさい」とか矛盾してること言うし・・・ベンキョーしたら頭使って休めねぇっつーの!!


とまあ、ベンキョーとかする気はさらさらなく、いつも通り黒子とマジバに立ち寄って軽食を取る
俺はハンバーガー(山盛り)、黒子はバニラシェイクとこちらもいつも通りの光景

今日はこの後、ストバスにでも行こうか・・・そんなことを考えていると、突然黒子がストローから口を離しこう言った


「ゲームセンター・・・行きませんか?」
「・・・!めずらしいな、お前がそんなとこ行きたいなんて」
「ええ・・・ちょっと・・・」
「?ま、別にいいぜ。ちょっと待ってろ、今コレ片付けるから」
「はい」



残りのハンバーガーを片付け、マジバを後にする
普段、黒子から誘いを受けることはあまりないから結構レアなことかもしれない



程なくして、駅前のゲーセンに着いた俺らは店内に入る
機械音が鳴り響く店内は、俺らと同じ高校生で賑わっていた


・・・そーいや、黒子と2人きりで来るのは初め
てかもな
バスケ部全員でジュース代を賭けて"太鼓の名人対決"をしに何度か来たことはあるけど、2人きりっつーのは記憶にない




「で、どれやりてーんだ?明日の賭けのために太古の名人でもすんのか?」
「いえ違います・・・あ、あった」
「ん?」

足を止め黒子の視線をたどると、フツーのUFOキャッチャーが1台
景品は・・・赤いトラのぬいぐるみ・・・?



「何?オマエ、これが欲しいのかよ?」
「はい。何回か挑戦しているんですけど、なかなか取れないんです」


どうやら黒子は、太鼓の名人で自分の番が来ない間にこっそりミスディレって挑戦してたようだ
けど、何回やっても取れなくて今日こそ手に入れたいらしい


「ふーん・・・じゃあ、俺が取ってやるよ」
「えっ?」
「俺が取ることもなきにしもあらず・・・だろ?」
「火神君・・・!いつの間にそんな難しい言葉を覚えたんですか?」
「っ!うるせーな!そこかよ!!」



ったく、せっかく人が取ってやろーとしてんのに・・・
こうなったら絶対に取ってギャフンと言わせてやる!!




どうやらこのUFOキャッチャーは、200円で3回挑戦できるタイプらしい
運が良いのか悪いのか、俺の所持金は丁度200円・・・
この3回で取れなかったら、俺のプライドに傷がつく



もう後戻りはできねぇ・・・し、する気もねぇ


することはただ1つ――



この勝負に勝つことだ!!





「火神君、UFOキャッチャーは勝負じゃないですよ?」
「だーー!!いちいち人の心を読むな!!いーからやるぞ!」


200円を投入し、ボタンを操作する

1回目は持ち上げたものの、重さに耐え切れなかったのか落ちてしまった

2回目は少し場所を変えたらアームが上手く引っかかり持ち上がった・・・が、コレも失敗
でも、落とす穴に近づいた


残り1回・・・
泣いても笑ってもこれで決まる・・・



「火神君・・・無理して取ろうとしなくてもいいんですよ?」
「別に無理なんかしてねーよ。絶対ぇ取ってやるから、待ってろ」
「・・・はい」


ボタンに触れる指先に全神経を注ぐ
ちょっとでもアームを入れるところを間違えればアウトだ

直感でここだ!と思うところでボタンから手を離す
アームがゆっくりとぬいぐるみを掴んで・・・



ボトッ




「いよっしゃぁぁぁーー!!!」
「すごい・・・!」


落ちたそれを取り出し、黒子に渡す


「ほれっ!」
「っ、ありがとうございます」


口元を緩ませながら黒子はぬいぐるみを抱きしめた
1つ気になったのは・・・



「なんでそんなにそれが欲しかったんだ?」
「それ、は・・・・・・内緒です」
「はあ?!取ってやったんだからそんくらい教えろよ!」
「イヤです。それとこれとは別です」
「ちっ、そーかよ」


んだよ・・・せっかく苦労して取ってやったのに・・・
ヒントくらいよこしてもいーだろ



「仕方ないですね。ヒントは『トラ』を英語で?」
「タイガー・・・って、あ」
「わかりましたか?それにこのぬいぐるみをよく見てください。なんか火神君に・・・」

























そっくりでしょう?

(にっ似てねーよ!!!)
(そうですか?目つき悪いところとか、赤いところとか似てません?)
(バカにしてんのかテメー!!)




(・・・本当はキミが好きだから、なんて言える筈がないじゃないでしょう?)



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