短編

□キセキで居酒屋に行ったよ!
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「じゃあ、皆の再会を祝って…乾杯」


「「「「「乾杯!」」」」」




ここはとある居酒屋
ある一室に頭髪のカラフルな大男+小柄な男子が集まっていた


6人掛け用の座敷の中央にいた、金髪の無駄にシャラシャラした男が手に持った烏龍茶を啜り口を開ける



「それにしても、またこうして皆で集まれるなんて俺、すっげぇ幸せっス!」

「なんやかんや言って皆、学部が違えど同じ大学に進学しましたからね」

「まさか火神と高尾まで一緒だとは予想外だったがな」

「別によくね?
俺はバスケが退屈しなくてちょーどいいくらいだ」

「大輝は相変わらずだね」


キセキメンバーと火神、高尾は同じ大学に進学した
しかし、学部が違う関係でなかなかキセキ全員が集まる機会がなかった

しかし今日、ようやく全員の予定が合い集まることができたのだ


ちなみに火神は父親が一時帰国しているため欠席
高尾はバイトのため緑間を迎えに来るだけのようだった



「赤ち〜ん…俺もお酒飲みたいしー」

「駄目だよ敦。
俺の目が黒いうちはお酒や煙草等、体に悪い物は与えないつもりだ」

「む〜…」

「ほら、このお菓子をあげるから我慢してくれ」

「うん我慢する!赤ちん大好き!」
 

まるで母親のような対応をする赤司にキセキメンバーは、もう何も言わない
言ったら何をされるか分かっているからだ

ちなみに赤司が今飲んでいるものは、ウーロンハイに見せかけたウーロン茶なのも誰も突っ込むまい




「赤司っちも相変わらずっスね〜…」

「ふん。まったくなのだよ」

「いやいやいや!緑間っちも相変わらずっスよ!
なんなんスかそのネクタイは!」

「ラッキーアイテムに決まってるだろ馬鹿め」

「俺が言ってるのはどこに付けてるのかってことっス!!」

「ん?」


そう、酎ハイ一杯で完全に酔ってしまった緑間は、ネクタイをこともあろうか頭に巻き付けていたのだ


「ブハッ!ダッセェ!クッ…ハハハハハハハハハ!!」

「青峰くんも仕上がってますね…」

「黒子っちは結構飲んでるのによゆーそうっスね」

「これでも酔ってますよ?」

「そうなんスか!?黒子っちはお酒に強いんスね〜」


黒子に感心している黄瀬の肩にぬっと手が伸びる
そして…



「ぐぴゃっ!?」


「おい黄瀬ェ…お前飲んでねーのかぁ〜?」

「あっ…青峰っち…!くっ苦し…!」

「黄瀬くんは明日、仕事があるそうなので飲まないそうです。
そして青峰くん、けしからんいいぞもっとやれ」

「くっ…黒子…っち…!マジ死ぬ…!たすけ…」


わりとガチめに白目をむきそうになった黄瀬を黒子は仕方なく助けた
ちっもう少し青黄を拝んでやろうと思ったのに、とブツブツ言いながら助けた黒子に黄瀬は若干冷や汗が出たが、青峰に絞められては元も子もない


ケホケホと咳き込む黄瀬を気にも止めず青峰は、グラスに注ぎ込まれたビールをつきだす



「黄瀬ェ〜お前…俺の酒、モチロン飲むよな?」

「はあ!?アンタ黒子っちの話聞いてたっスか!?
俺、明日仕事あるんス!だから今日は飲まねーっス!!」


胸の前で×を作って青峰からの誘惑を拒否する黄瀬

しかし、そこは元キセキの世代エース
敵を射殺すほどの視線を送り、黄瀬をうぐっと怯ませる


「飲めねぇなんてことねーよなぁ〜黄瀬ェ〜?」

「ひっ!
く、黒子っちぃ〜助け…って!だだだ大丈夫っスか!?」

「だっ…大丈夫だ…問題ない…」

「黒子っちお酒のせいでキャラ崩壊してる!!」


どうやらお酒を飲みすぎたらしい黒子は、机の上に頭をのせダウンしていた
黄瀬は近くにあった冷水を渡し、背中を擦る



「おい黄瀬!テツなんかほっといて俺の酒を飲め!」

「どんだけ暴君なんスか!!イヤったらイヤっス!!」


「飲めったら飲めぇ〜…!」

「イヤったらイヤっスぅ〜…!」

青峰の酒の強要に全力で拒否する黄瀬
そんな黄瀬の抵抗に苛立ち始めた青峰は、最終手段を使うことにした



「俺の酒が飲めねぇってならもう1on1しねぇぞ!!」
「っ!」



それまで全力で拒否をしていた黄瀬がびしりと固まった


同じ大学に入ったことで、中学時代のように毎日1on1ができるようになった黄瀬にとって、この一言はどんな辛いものか青峰はよく知っている

なので、黄瀬がこの了見を拒むはずがないのだ
勝利を確信した青峰は、先ほどまでの苛立ちはどこへやら、顔を青くしている黄瀬をニヤニヤと見ている


「黄瀬ェ〜どうすんだ〜?」

「……飲みます」

「よし、よく言った!じゃあこの酒飲めよ!俺の奢りだ!」

「ううっ…明日仕事なのに…それに青峰っちの奢りとか絶対怪し…いたいいたいっス!!

「グダグダ言ってねーで飲みやがれ!!」

「分かったから耳引っ張んないでほしいっス!」


なんですぐ暴力振るうんスか〜と半泣き状態で青峰に渡された酒をぐいっと煽る黄瀬



しかし、青峰以外のキセキメンバーはその光景を見た瞬間、「ああ、やはりアホ峰はアホ峰だったか…」と心の中で手を合わせた





―10分後―



「だからね…ヒック、俺はいつも思うんスよ…グスッ、青峰っちは俺のこと好きじゃないんじゃないかって…!」

「……んなわけねーだろ」


お酒を飲んだとたんこれだ
さっきから自分を卑下したり青峰に対する愚痴をつらつらと述べたり・・・

アルコールのせいで呂律も回っていないため、黄瀬はデロンデロンの状態だった


「…ヒック、いーや!れったいそうっス!俺がおらすみのめーるしれも、れんれん…れんれん…うわあぁぁぁああん!!」

「泣くなよ!しかもなんて言ってるか分かんねーし!」



「青峰くんにおやすみのメールしてもまったく返信をくれないので自分は嫌わているのではないか、と黄瀬くんは言っています」

「なるほど…って、うおっ!?テツ、お前復活してたのか…」

「ええまあ。
いつもは火神くんがいてくれるので、こんな感じでダウンすることはないんですけどね」


本当は火神くんと一緒に飲みたかった・・・と心底残念そうなオーラを出してくる黒子に若干距離をとる青峰


「お、おう…そうか…ってか、よく分かったな。黄瀬の言ってること」

「いつも聞き慣れてますから」

「ふーん……ってはあ!?」


黒子の思いがけない一言に思わず大きな声を出してしまった
しかし居酒屋は混雑しており、そんな青峰の声は雑踏の中に消えた


「反応が遅いですね。これだから酔っ払いは」

「よっぱ…まあ今はそんなことどうでもいい。
聞き慣れてるってどういうことだよ?」

「ああそうか、君は黄瀬と飲みに行くのは初めてでしたね」

「まあな。普段アイツはモデルの仕事とかで忙しいし、俺もバスケとかで色々忙しかったからな
…待てよ?てことはアレか?お前は黄瀬と何回も飲みに行ってるってことか?」

「正確に言うと君以外のメンバーは、ですね。あ、ちなみに(僕の)火神くんと高尾くんも頻繁に飲みます」

(僕の・・・?)


そう聞こえたが、今はスルーしておこう
青峰は野生のカンで問いただすのは自重することにした


「えっ・・・じゃあ俺だけが」

「初めてです」

「マジか・・・」

「そして黄瀬くんはアルコールに弱く、飲むといつもこんな感じに惚気けてきます」

「惚気けてるっつーか・・・泣いてんじゃねーかよ・・・」

「それは君の責任でしょう。それに、こっちからしたら惚気にしか聞こえませんよ」

「・・・・・・」


「少しは、大事な彼女(笑)を泣かせないように気にかけてあげてください
こちらとしても迷惑なので」

「・・・スマン」

「僕に謝る前に黄瀬くんに謝ったらどうですか?
毎日不安で不安で仕方ないようですし」

「そうだな・・・おい黄瀬!」


「スンッ・・・なんすか・・・?」

「その・・・色々不安かけてたみたいでごめんな?
次からちゃんとメールは返すし、お前を不安にさせるようなこともしねぇ。その代わり、お前も甘えたい時にはちゃんと甘えてこい」

「あお、みね・・・っち・・・」

「だからー・・・そのーなんだ、これから飲みに行くときは他の奴じゃなくて俺を誘え」

「え?」

「俺、こんなお前全然知らなかったし。他の奴ばっかズリーじゃねーか
・・・俺のもんなのに」

「?ごめん青峰っち、最後の聞こえなかったっス」

「っ!何でもねーよ!」

「いった!なんで殴るんすか!!」



その後、ぎゃいぎゃいと言い合いを始めてしまった二人


黒子はそんな二人から放たれるバカップルオーラを流すように酒を煽るのだった


















酒は憂えの玉箒


(ま、青峰くんは箒と同等ってことですかね)





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