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□僕だったら。
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教室の隅、ケータイを片手にうずくまる貴女は、肩を震わせていた。
僕は黙って貴女に、タオルを差し出した。
貴女は恥ずかしそうに、顔をあげてなにもなかったかのように振る舞うけれど、目のまわりは赤く腫れていた。
……きっと沢山泣いたのでしょう。
昨日、体育館の裏で別れ話をしていたの、知ってるんです。
貴女は笑ってさよならしていたけど、
僕は知っていたから
貴女がどんなに彼の事を好きだったのか
知っていたから
ずっと見ていましたから
今だって、鳴らない着信待ちながら
一人で泣いている貴女。
こんなに素敵な貴女を泣かせるなんて……ありえません。
僕だったら
貴女のこと、なによりも大切にするのに
僕は
貴方のこと、誰よりも……
愛しているのに
じゃあまた明日ね、と手を降る貴女の背中を抱き締めたい気持ちを押さえて、今日も僕は…