恋戦隊LOVE&PEACE
□糖 【青山】
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データーの打ち込みを終え、コーヒーを飲むために食堂へ来た。
ここでなくても自室で飲めるものだが、どうしても気分転換したかったのだ。
いつも違う、多めの砂糖にミルク。なぜか甘いものがほしくなったんだ。
疲れているのだろうか。私が甘いものなんて…
やけに陽射しがまぶしく感じて窓の方に背を向けてコーヒーに口をつける。
「…あまっ」
だよな…。
山盛り3杯入れたか?これじゃカフェオレにまた砂糖入れたくらい甘いな。
そんな激甘コーヒーをちびちび飲んでいると、大量の資料や報告書を抱えてフラフラ歩いている**の姿を見つける。
いや、あれは効率が悪いだろ…
一気に持っていくなら台車を使ったり、手で運ぶなら2回に分けたり…
「ったく…」
そんなこと思いながらも激甘コーヒーを飲みほし、自然と足を向けてしまう私は…
もはや、心も味覚もおかしくなっているのかもしれない。私らしくない。
「**、資料室に行くのだろう?ほら、かすんだ」
**「で…でも…」
「君は本当に効率が悪すぎる。何事も先を見て行動をしないとだな…」
**「そうですよね。…すみません。」
下を向き少し悲しそうな顔をする**。
傷…つけてしまったのか?
私はフォローする言葉も見つからず、一点先を見つめて歩く。
何か…話さないと…
沈黙を破るようにブンと顔を上げる**。
「?!?!」
**「そうですよね!効率とか、臨機応変に動くとか…大事ですよね。私、行動するときに先が見えてないこと多いですし…」
**「青山さん、ありがとうございます。私もう少し行動の仕方改めてみようと思います!」
「…ふっ…。あぁ、私も気付いたらその都度声を掛けよう。」
**「ありがとうございます!宜しくお願いしますね!」
全く…心配してみれば…
ま、こういう真面目というか、素直というか…芯が強い女は嫌いじゃない。
資料室につき、本棚に報告書などを片づけていく。効率が悪いからと、**は私と違う離れた場所で作業する。
・・・なんだ。
効率が良くなる。結構なことじゃないか。
だが…**と同じ空間にいるのに離れていることが…**に別々に作業しようと言われたことが…
なぜか心に引っかかるのだ。
傍にいたい。**に触れたい…。そんな衝動にかられてしまう。
胸が熱くなる…これが**へ向けてのハートエナジーという事は大分前から気付いていた。
だが、**から溢れてくるハートエナジー…これは誰に向けてのモノなんだ。
胸の中が熱くなるとともに黒々してくる…嫉妬?
私が嫉妬だなんて。馬鹿な…。
**の事ばかりが頭の中を支配していく。
**「ひゃ!!…あ…青山さん?!」
気付けば後ろから**を抱きしめていた。
**「…こ、これじゃ仕事が…ほら、効率よく…先を見て…」
「そんなの…後ですればいい。」
**「でも…青山さんが…」
「ふっ。確かに、そうだな。」
**「…変なの…」
私の腕の中で照れながらほほ笑む**。
私の腕の中にいる**が私を見上げる。
私が顔を近づけるとゆっくりおろされるまぶた。
私は静かに**へ唇を落とす。
「私は…君の事が好きだ。こうしていてもいいだろうか…?」
**「…」
コクンとうなずく**をさらに強く抱きしめる。
「ずっと…こうして触れたかった。」
**「…私もです。」
もう一度重なり合う唇。
深く深く、気持ちを確かめあうように…互いの舌を追いかける。
「…私はこれくらいがちょうどいい。」
**「?!?!?!?!なっ…私、こんなの毎回…!!!」
「何を考えてる。君は案外…いや、やめておこう。」
**「な、なんですか?!」
「なんでもない。」
**「も〜〜〜〜!!」
**から香るほのかに甘い香り、唇の優しい甘さ…
私は…私にはあの山盛り3杯の砂糖より、**の甘さが一番心地いい。
いくらでもおかわりできる…そう思える甘さなんだ。
**「…青山さんのキス…とっても甘かったです…」
「…!!何をいきなり言うんだ…」
**「…だって。…でもなんかコーヒーの香りも…」
「あぁ、さっき激甘コーヒー飲んだからな。ま、これからは糖分の補給はいらなそうだ。」
腕の中にいる**は理解できない、という顔をしている。
そんな顔が可愛らしくて私は理由を話さなかった。
**「あ…まだ資料が残って…」
「だから、後でいい。」
**「でも…この後も他の仕事が…先を見てやらないとって決めたばかりじゃ…」
「…そうだったな。先を見ることは大切だ。」
「だから…これから、私たちも先を見て一緒に歩んでいこう。」
照れくさい…恥ずかしさを隠すように**のおでこにそっとキスをし残りの仕事を片づけていく。
二人傍にいながらも、効率よく仕事ができる方法を探して…