君と僕。

□それでも春は、やってくる
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ザー。
今日は雨。土砂降りとまでは言わないが、大粒の水滴が地面を打つ。
「降っちゃったねえ。」
「あーあ、せっかく俺が食券をかけた熱い戦いを繰り広げようとしてたのにっ!!」
「お前はまずビリから脱却しろよ」
今年度最後の学校行事であるマラソン大会はこれで延期になる。
「俺たちの青春があああっ!!!」
「…千鶴くん、君の青春ってなんなんだろうね。」
「ど、どーいう意味だよ、それ!!」





いつもの5人組は降りしきる雨の中、学校に向かって歩いていた…
はずだった。
……
「ちょっと待って。」
悠太はあることに気が付いて足を止めた。
「今日、なんかさ、花が飛んでないね。」
……
「春ちゃーん!!!何!?なんで!?来てないのっ!!??」
「黙れ小ザル!!耳元で叫ぶな!!なんで春がいないだけでそんなに騒ぐんだよ!」
「要の声もでかいよ。」
春がいないなんて、珍しいにも程がある。
「幼なじみでしょ!?心配しないの!?」
ギャー ギャー
「あ、メール来てる…」
祐希はおもむろに携帯を開く。パカッ

「『ちょっと用事があるので、先に行ってて下さい;』」
バシーン
「早く言え」
「えー、だって、今見たんだからしかたないじゃん。」
「祐希さん、メール来たの1時間前だよ。」
「ゆっきーの薄情者―!!」
「なんでおればっかり責められるの…」
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