世界一初恋

□回顧
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「…雪名っておとめ座かあ、お似合いだよな。
しかし北海道出身だったとは驚いた。」
すれ違い(まあ、全て俺の勘違いだったわけだが…)からお互いのことを何も知らないということを思い知らされた。
怒涛の自己紹介をされた俺は、少しずつでも雪名を知ることが嬉しくて、前よりもよく観察するようになった。
「料理はできるし、周りの人から好かれるような良い性格だし…ルックスに比例しすぎなんだよ…」
今日は校了明けで、たまたま有休を取っているため丸々1日休みなのだ。
暇だな、と思いながらも特にやることがなかったので、ベッドの上であぐらをかいて座っていた。
おかしい。
いつも有休取っても、何かしらやらなきゃいけないことがあったはず。
「…掃除でもするか」



ピカーン。
そんな音をたてるんじゃないかというくらい整頓されていて埃すらない。
「…俺、いつ掃除したっけ?」
昨日まで対印刷所戦争してたんだから…
「1ヶ月前…か。もっと前か?」
そうだとしたら、綺麗な理由はただひとつ。
「あいつ、この前来た時掃除してくれたんだ」
何でもできるなー、とまた雪名のいいところを見つけてた。
お互い合鍵を持っているわけではないので、会う頻度はそこらのカップルとは比べられないほど低い。
顔くらい見たい。
今すぐにでも。
これが寂しい、という感情なんだろうか。
かつての俺が自分の中でうやむやにしていたものだ。
「…そうだ。」
こんなに暇な理由がわかった。
「俺、この間まで遊んでたんじゃん」
 

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