世界一初恋

□こんなとき、あいつの反応。
2ページ/3ページ

TAKE2
―小野寺―
「高野さん、これ企画書です。あと、言われてた資料、持ってきました」
俺のデスクの近くまで来たそいつは、俺から顔を背けながら企画書と資料を突き出し、さっさと戻りたいんだオーラを放つ。
「…上司の目を見て渡せよ」
「な、必要ないでしょ!?」
「中途半端なこと言ってんじゃねえぞ」
イライラ。
こいつは木佐とかにはニコニコへつらっているのに、いつまでたっても俺には普通にさえ接してくれない。
(はあ、また言ってしまった)
このオフィスでそいつの顔を見られるだけありがたいことであるはずなのに、それ以上のことを望んでしまう。
上司である自分弱い所を見せてはいけない、と思うと、気丈に振る舞う他ない。
(また、こいつを怒らせてしまう…)
「…中途…半端って…」
案の定、顔を真っ赤にしながら下を向いてしまった。
「そんなに俺の顔を見るのが嫌?」
「嫌です!嫌だったりするんですよ!!何かご不満でも!?
何ならあんたがいない時を見計らってデスクにポンっておいときましょうか!?
そうですね、そうしましょう!それがいい!!これで何事もなく過ごせるってもんです!ははははは、では、仕事に戻ります!」
バッと顔を上げて一気に言いたいことだけを吐き出した後、自分のデスクへ逃げるように帰っていった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ