混合系

□不顧後患
1ページ/1ページ

※漢文パロ。1827



並盛の王、雲雀は傍に仕えている草壁に言った。

「あのパイナポー頭の所を攻めるよ。止める草食動物は噛み殺す」

それを聞いた小間仕の綱吉は王の身を案じた。しかし、直接言えば彼は自分を噛み殺すだろう。
ならば、と小さなはじき矢とその弾を持って裏庭に向かった。
裏庭を歩き回り、朝露で衣を濡らした。
綱吉が三日、それを繰り返すと不審に思った雲雀が綱吉を呼んだ。

「君、何してるの」
「あ、う、その」

王の気迫にオドオドしながも綱吉は語った。

「あそこの木に蝉がいるんです。高いところで高く鳴いて露を飲んでいるんです。後ろにカマキリがいることも知らないで……
でもそのカマキリも傍に黄雀がいることに気づかず蝉を狙っていて黄雀は俺がはじき矢を持って下にいることを知らない」

そう言う綱吉の顔はだんだん悲しげに歪んでいった。

「みんな、後ろに危険が迫っていることを知らないんです」
「……つまり、君は僕の心配をしているわけ?」

雲雀が問えば綱吉はポロポロと涙を流す。

「だって骸だけじゃない!!あなたは強いからたくさんの人に狙われる!!生きて欲しいし怪我もして欲しくない……あなたが、好きだから」

これには雲雀が驚いた。
目を丸くしていると今更自分が言ったことに気づいたのか、綱吉が真っ赤に顔を染めた。

「あ、あの!今のナシで!忘れてください!!」

慌てる綱吉が可愛らしく、雲雀はクスクスと笑った。
もっといろんな顔を見たくて近づく。一歩近づくたびにビクビクするのも愛しくて、もっといじめてみたくなる。
ついにその小さな体を抱きしめた。

「いやだ。忘れない。あと君に免じて遠征はやめてあげる」



その後、国は雲雀の下、順調に発展していった。
雲雀王の近くには常に愛らしい大空がそばにいたそうだ。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ