CP小説
□うさぎって
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「なぁ数学、せっかくなんだしどっか二人でいかないか?」
俺は隣に座っている恋人(男)の数学に話しかけた。
「なんで」
数学は俺には目を向けず、ずっとさっきからテレビばかり見ている。
最近はやっているドラマのようだ。
「なんでって…あのさ、俺ら恋人同士じゃん?二人で遊びに行くのって普通じゃね?」
「別にそんなきまりねぇだろ、俺今ドラマ見てんの」
つれないなぁ。
たまにすごく不安になる、こいつは本当に俺のこと好きなんだろか。いつもけんかするし(俺も悪いけど)、すぐ怒るし(俺も怒るけど)、好きとかいわねぇし(俺もいわねぇけど)。
俺はそっと立ち上がり、部屋から出る。俺達はみんな一人ずつ部屋がある、が、基本は教科全員同じ建物で生活をしている。
向かったのは兄・古典の部屋だ。
今は確か英語は外出中、古典は一人のはず。
コンコン
「はーい」
中から兄の声がする。この声が俺は好きだ。昔から俺にやさしくしてくれるこの兄の声が。
「あ、現文じゃないですか。どうしたんですか?浮かない顔して」
「ちょっとな…入っていいか?」
俺の言葉に古典は笑顔でうなずき、中へ入れてくれた。古典の部屋は和室で、畳のいい香りがする。現代の日本にはもう、少なくなってきたけれど、やはり畳はいい。