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□できないのなら
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「なんだよこれ…」

俺、現代文は今、苦しめられている。

「は…えっと…これがここで…あれ?」

「…お前さっきから何してんだ?」

隣から恋人、数学がのぞきこんでくる。

「…修理だよ、携帯の」

そう、俺は今まさに、現代人にとって必要不可欠なもの、携帯と戦っている。

――できないのなら

「お前、そういうのはまず店に持っていくのが普通なんじゃねぇの?」

「そうなんだけどさ、これ絶対スマホ勧められんじゃん」

「いいじゃねぇか、スマホで」

「…………」

「なんだよ」

そう、この時代スマホが普通、だけど…機械があまり得意でない俺は、使いこなせるかどうか不安なんだ。

でもそんなことは言えないし、言いたくない。恰好悪いし。

「別に、金ないんだよ今」

「だからってお前、素人が勝手にばらしたらどうしようもねぇだろうが」

「そうだけど、大丈夫だ、ぜったいできる」

俺の言葉にあきれる数学。

「しらねぇぞ、どうなっても。俺は忠告したからな」

「おうおう」

機械つったって、んなもん人が作ったんだ、俺だって人だ、大丈夫。それっぽくすれば大丈夫だ。

………………―――

1時間ほど作業していただろか、もうどれがなんの部品なのかもわからない。

というより何が故障してたんだ?どこを治せばいいんだ?

「……〜〜!!あああああ!!もう!!しらねぇよ!!」

ぽいっと携帯(だったもの)をほおって自分のベッドにダイブする。

こんなんだったら数学の言う通りに店持って行って修理してもらえばよかった。

…もしかして、数学ならできるんじゃ…。

俺は携帯(らしきもの)を手に抱えて数学の部屋に向かった。

コンコン

「あいてる」

中から無愛想な声。俺だからいいものの、違うやつだったら確実にびびるだろこれw

「あの…さ…」

「なんだ、修理できなかったのか」

いきなり言いあてられビクっとする。

「いや、それが」

「チッ、だから言ったろ、素人が勝手にいじくんなって、できねぇならできねぇで最初っからそう言え、バカ」

言い返せない、数学が正論だから。

とりあえず無言んで机に携帯(であろうもの)をおく。

「はぁ」

大きなため息。胸にグサっとささる。

「それはそうなんだけどよ、でも、やっぱ」

俺が口ごもっていると、外から声が聞こえた。古典の声だ。

「現文、僕の携帯にあなた宛てのメールが来てますよ。"仕事"の件だそうです」

「こんなタイミングで…わりぃ、数学、俺ちょっと行ってくるわ」

「あっそ」

明らかに機嫌の悪い数学。そりゃそうだよなぁ…

俺はそっと部屋から出て古典からメールの内容を教えてもらい、そのまま仕事に向かった。







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