CP小説
□僕の隣は
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どれくらい実験していたんだろう?終わったころには日が傾いていた。
ふと社会に目を向けると、椅子に座ったまま腕を手を足で挟んで寝ている。
口が半開きで、ユラユラ揺れている。
…やっぱつまんなかったのかな?
とにかく、ずっとここで寝ていられても困る。自室に戻らせないと。
「ちょっと、社会。もう夜だよ、自分の部屋に帰りなよ」
軽くゆすると、バチっと目を開ける。それと同時に僕に抱きついてきた。
そのまま強いちからで抱きしめられる。もともとでかい社会と、自分で言うのもなんだけど少し小さくて細い僕では体の大きさはだいぶ違う。
「い…たい、社会。どうしたの?」
普段僕にどう思われるか、嫌われたりしないかを気にする社会は、全く僕に触ろうとしないし、無難なことしか話さない。
なのに、いきなり抱きついてくるなんて…
「どうしたの?社会ってば」
くるっくるの猫っ毛を撫でる。何のシャンプー使ってるんだろう、いいにおい。
でも今はそんなことより、この状況のほうが興味深い。
社会はしばし固まったあと、ハっとして僕からすぐに離れた。いままで温かかったのに、また少しひんやりする。
僕の部屋は少し寒めに設定してあるんだ。慣れていたはずのこの温度に、一度ぬくもりを感じてしまうと、違和感と少しのさみしさを感じてしまう。
「ごごごご、ごめん理科!!いきなり!!ほんとごめん!!ねぼけてた!!」
必死に謝る社会。
「なんで謝るの?恋人同士じゃない、別に嫌なんて言ってないでしょ」
いっそもっと……
すっと社会に近づき、首筋にキスをする。
「なっ…理科!!」
受け入れもせず、拒否もしない。社会はひどく臆病で、弱い。
「ねえ。どうしていきなり抱きついてきたの?何か理由があるんでしょ?教えてよ」
「ん……」
「僕に話すことで僕に何か思われるのかもっておもうのなら、ただ単に僕の知りたいという欲求を満たすためだけに答えて。それならまだマシしょ」
僕も言葉に社会は少しうつむきながら
「怖い夢を見たんだ」
と小さな声で言った。寝ぼけてたってこと?
「理科がね、どっか行っちゃう夢なんだ。それで、起きたら目の前にいたからつい…」