Sinfonia

□dive into your heart
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黒髪の少年が木の根本に寝転がっている。
顔立ちは目立たないが整っており今はまぶたに隠された瞳は美しいアイスブルーであった。

柔らかに頬を撫でる風にまぶたを震わせ、ゆっくりと目を開ける。
視界に映ったのは豊かな緑。
どこまでも青い空。
こころもち頭を上げてみれば透き通る泉があった。
見たこともないような美しい自然に目をしばたたく。
自分の家の周りにも自然は多い。
しかしここは自分の知る場所ではない。
…多分夢だな。
簡潔に判断を下し二度寝に入るべく横臥し寝直す。
空気がきれいで心地いい。深く息を吸い込み、少年はまぶたを再び閉じた。

ずるり

地を這う音が耳に届いたが無視を決め込む。

ずるっずるずる

気持ち良く眠りに入りたいのに…。
うるさく思い渋々目を開くと思いの外身近に何かの影がありびくりと身をすくませる。
恐る恐る視線を上向けて息を呑んだ。

「ひ…っ」

半透明のヘドロみたいな物体、いや生物だった。
意志を持ち少年に覆い被さるように移動してくる。
体を引きずり近づく謎の生命体から逃げようと少年は身動ぐ。
しかし恐怖に固まった体は思い通りに動かない。

どうしよう。逃げなきゃ…。どうして…動けない…助けて…っ!

渦巻く思考に絡め取られたように固まったまま少年は震えた。
とうとうゲル状の生物が少年の足を捕らえる。
少年の口から細く悲鳴が漏れた。


右足から逆さにつり上げられ着ていた服がずれ、腹に直接風が当たり初めて恐怖にでなく身が震えた。

そうしてやっと自分がパジャマ姿であったことに気づいた。
いつものカラーコンタクトもなく裸眼だし、足元は裸足で昨夜ベッドに入った時のままだ。
なんで、これは…夢じゃない!?

呆然とし受け入れがたい事実に混乱しながら少年、鏑木彗〈かぶらきすい〉は昨夜のことを思い出した。


翌日は高校の入学式で二人の兄が母と一緒に見に来るというのを押し留めるように断って自室に戻った。
気に入りのアーティストの歌に耳を傾けながらベッドヘッド側の窓から見た月を覚えている。

それから壁にかけた真新しい制服を撫でて、ベッドに入った…はず。
しかし自分は今知らない場所で見たこともない化け物に襲われている。
訳は解らないが現状を把握する間に全身をぬるぬるした触手に巻かれていた。

「う…」

漸く意識して体を動かせるほどに脳の機能が回復したのにこれでは全く意味がない。
更には助けを呼ぼうと開いた口の中に触手の一本が入り込んできた。

「ん、んうーっ!」

頭を振ってなんとか吐き出すと咳き込み目に涙が滲んだ。
はあはあと息をつきもう一度叫ぼうとしてなにかおかしいと感じる。
何故か体が怠く熱っぽい。
額に軽く汗が浮き腰の辺りが疼く。
ぼうっとする頭でそこまで考えてはっとする。
触手の粘液が妙な効果を持っていたのか下腹部が重く中心が頭をもたげ始めていたのだ。

宙吊りになった体を押さえつけるように巻き付いていた触手がそれぞれに彗の体をなぞり始める。
反応なんかしたくないのに彗の意思に関係なく体は快感を拾いびくびくと跳ねる。
触手に拘束され、唇を噛み締め声をあげないことだけが彗に許された抵抗だった。

どれだけの時間体を撫で回されたのか。
唇を噛み締めるのさえ辛くなってきた頃すっかり勃ち上がったそれにねっとりと触手が絡んできた。
初めての直接的な快感にいっそうきつく唇を噛み締め直す。
絡み付く触手は緑色なのに半透明なせいで勃起した自身が透けて見え、気持ち悪い。
ぬるりとした粘液を出しながら形を辿るそれを恐ろしいと思いながら抑えようもない悦に彗は呻く。
カリを舐めるように蠢き鈴口を抉られ竿をしごかれ、耐える間もなく吐精した。
噛み締め過ぎた口の端から血が零れる。
気力はもう限界に近かった。

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