アネモネの咲く朝

□3.5話
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今日から初めて受ける授業について枢から色々聞き、現在教室の扉の前で立ち尽くしている私。

枢は焦る私を見てゆっくりおいで、と言い残し去って行ったのが30分前。

うー緊張する…

私こういうの駄目な人なんだよー!

下を向いて一人でブツブツ言っている様はきっと周りから見て不気味だろう。



ポンッ

「あれ楓ちゃん?どうしたの?」

『ひぎゃあああ!?』



誰かに突然肩を叩かれて、驚いた私は悲鳴をあげてしまいました。

いきなり誰だと後ろを振り向くと



「楓ちゃん面白い悲鳴出すね…っ、」



何故か爆笑している一条拓麻さんがそこにいました。





***





「…ふぅ。あ、紹介遅れたけど僕は一条拓麻です、宜しくね!」

『………白松楓です、宜しくお願いします』



一条さんの笑いが収まるまでずっと待たされていた私は偉いと思う。

というか自分の事で笑われるのを見てるのは正直複雑です!!

自分でも少し頬が膨れてるのがわかる。



『あの…何で一条さんはここに?』

「拓麻でいいよ!枢から楓ちゃんを迎えに行って、と言われてね。寮に行ったらいなかったから」

『な、なるほど。何かお手数お掛けしました…』



悪いなと思って謝ったら目の前の一条さんはぽかんとした顔。

思わず首を傾げると一条さんはハッとした後笑った。

それから私の頭に手を乗せ、ゆっくり撫でる。



「楓ちゃん、僕別の言葉がいいな」

『別…?』



別、別の言葉…。

考えていると、一条さんが何かを伝えようと口パクをしていた。

………あ!



『ありがとう!』

「どういたしまして。さあ、中に入ろうか」



自然と緊張が少し解けたように感じた。





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