アネモネの咲く朝
□2話
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『あ、は、はい…大丈夫です』
ぴゃっ って何!
まさか聞かれた…?
だとしたら恥ずかしいー!
「楓…だよね?」
恥ずかしさで顔が上げられないでいると上から何処か懐かしさを含んだように私の名前を呼ぶ声。
そろりと顔を上げるとそこには
『か、枢様!?』
なんと信じられない事にあの玖蘭枢が私の目の前に立っているではないか。
どうして!?
開いた口が塞がらないとはこのことなのだろうか。
「クス…嫌だな。久しぶりだから呼び方変わったのかな、枢、でいいのに」
艶やかに美しく微笑む枢様は本物なのだろうか。
だって玖蘭枢って…
いつか読んだ漫画の世界の登場人物だよね…
うう、頭の中が混乱する!
枢様はそんな私をよそに頬に手を当て私と同じ目線に屈んで、
「また、よろしくね楓」
そう微笑んだのだった。
(誰か教えて下さい!)
(どうして私はここにいるのか)
(そして現実なのか)
。