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□Star Gazer
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いつかの時代 どこかの時代。

永遠に繰り返される宿命は、永遠の時を刻む者によって、調和が保たれていた。







ーStar Gazerー 星の観察者
第1章 星の導き

「ハネクリボーLv.10の効果発動!」

伏せられていたカードが翻り、絵柄が現れた。
魔法カード、[進化する翼]。
突如羽の生えた小さな毛玉の様なモンスター・ハネクリボーの身体が光輝いた。
次の瞬間には大きな羽を広げ、勇ましい甲冑に身を包んだハネクリボーが現れた。

「ハネクリボー、スッゲェ格好良くなったじゃん・・・!」

遊馬は驚きつつも感動していた。
隣でアストラルが注意を促す。

「気を付けろ、遊馬。きっと何か仕掛けてくる。」

警戒するアストラルを余所に遊馬が進化したハネクリボーに気を取られている間に、十代は更に進める。

「ハネクリボーLv・10は、自らをリリースして相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。そして破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
「ぅええっ!?てことは、希望皇ホープの攻撃力2500分のダメージ!?」
「そういう事だぜ、遊馬。ガッチャッ!楽しいデュエルだったぜ」

狼狽える遊馬に対して十代は指を2本付きだして、ウィンクしてみせる。
ガッチャッのポーズである。

『クリクリィ〜!!』

ハネクリボーが強烈な眩い光を放つ。
その光に当てられた希望皇ホープは破壊されてしまった。
破壊された衝撃波がD-ゲイザーのARビジョンを通して、遊馬を襲った。

「う、ぁあああっ!!」

衝撃波に遊馬の身体が後方に吹き飛び、同時に勝敗のブザーが響いた。
今日も遊馬の敗けで幕を閉じたのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「くっそ〜っ、また負けちまった〜っ!」
「あそこで彼のリバースカードを警戒していれば、今回の結果にはならなかったはず。もう少し君は状況判断を見極めて行動した方がいい」
「うっさいなぁっ!つか、あれは俺と十代さんのデュエルなの!お前は参加してないんだから、口出しすんなっての!」

またいつもの言い合いが始まった。
お互い反発している様で、実はお互いを信頼しているのだ。
十代は目を細めて遊馬とアストラルのやり取りを見つめていた。

ー常に傍に居てくれる大切な
 友。
ー迷った時に、路を照らして くれる相棒。

お前は俺に似ている。
だからこそ、俺みたいなっちゃいけないんだ。
お前には帰るべき場所がある。
待ってくれる皆がいる。

『大事にしろよ、遊馬。』


遊馬たちを見ていた十代は、一瞬目眩に襲われる。

「・・・・・・・・・っ」

まただ・・・。
最近、目眩や身体の不調を訴える事が多くなった。
幸い、それらの症状は数秒もせずに何事も無かった様に消えていく。
いつもは、小五月蝿いぐらいに心配するユベルの気配すら、薄くなっていた。

やはり、この時代のこの空間には何かある。

数多くの時空間移動をしてきた十代は、今までに感じた事の無い程の異常な力の気配に引き寄せられた。

辿り着いた場所はハートランド。
しかも、その異常な力の所為か、この遊馬の部屋の天井に穴を開けて落ちてしまった。
当然、遊馬は驚いた。
幽霊の次は人ぉっ!?と。
恐らく幽霊とはアストラルの事だろう。
直ぐにアストラルに気付いた十代が警戒すると、今度はアストラルも遊馬も驚いた。
妙に気が抜けた十代と驚き続きの遊馬の前に鬼の形相の遊馬の姉・九十九明里が上がってきた。
その後、2人(3人?)して明里に怒られた。

『遊馬っ!あんたねぇ、上で暴れるのもいい加減にしなさいよね!しかも天井に穴を開けるわ、年上の知らない男の人を無断で上げるわ・・・。ちょっとっ!聞いてるの!?大体、あんたは日頃の行いが(以下省略)』

色々と小言は言われたが、なんとか治まった明里と結局全部俺の所為かよ!と嘆いていた遊馬に謝罪をして九十九家を後にしようとした十代だったが・・・。

「せっかくなんだし、泊まってってよ。天井のお礼も言いたいし」
「・・・大人しく姉ちゃんの言うこと聞いといた方がいいって」
「何か言ったかしら、遊馬ぁ?」
「ナンデモアリマセーン!」

九十九明里はやはりまだ怒っていた。
序でに遊馬に小さく『アストラルが話したいらしくて五月蝿いから頼むよ・・・』と言われてしまい、十代は今晩は九十九家に泊まる事になった。

ー暖かかった。
野宿が多かった十代は久しぶりにそう思った。
ただ単に雨風凌ぐ家が暖かかった訳ではなく、心の奥から暖かくなった。
忘れかけていた、人との温もり。

(翡翠の髪と瞳を持った親友に。
藍色の真っ直ぐな瞳を持った仲間に、それぞれ身体を張って、時には命を張ってまで教えてくれた。)

もう少しだけ人間を、この人たちを信じてみよう。

十代は自分の事を話した。
流石に過去の事や、タイムパラドックスが起きそうな事柄は伏せ、旅から旅を続けていると。
話を聞いていた遊馬と明里は、何かを訴えるかの様な眼差しで十代を見た。
九十九家の両親は現在は旅に出ており、不在であった。
トレジャーハンターとは言え、旅は旅。
相当な苦労や過酷な事は、2人して分かっていた。
それを、こんな自分たちとそう変わらない歳の青年が一人旅。
2人揃って黙ってしまい、何かヤバい事言っちまった?
と、一人狼狽える十代に九十九姉弟は・・・。

「理由は聞かないけど、旅をしてるんなら、準備とか必要でしょ?」
「え?いや、俺いつも行き当たりばったりな感じ・・・」
「そんなんじゃ危ねぇって!今までは運が良かったんだよ!」
「え・・・いや・・・その・・・。」
「天井の事はちゃんと旅の準備とか調えてからでいいから!」
「やっぱ天井は絶対なんだ・・・姉ちゃん・・・」
「兎に角!家は部屋が余ってるからそこを使っていいから、旅の準備と何がなんでも天井を直す事!!分かった!?」
「は、ハイッ!・・・て、えぇ!?」

九十九姉弟・・・というか明里の気迫に負けた十代は、暫くの間九十九家のお世話になることになった。

「(俺、昔っからああいう感じの女の人に弱いんだよな〜。え〜っと、確か・・・あ、明日香に似てるのか!明日香も怒ると手が付けられなかったっけ〜)」
「(ごちゃごちゃ言ってないでさっさとお皿片付けてお風呂に入りなさい!!)」
「(ハイーッ!)」
「(遊馬はテレビ見てないで勉強する!でないとデュエルを今度こそ禁止するんだからね!)」
「(ハイィーッ!)」



END

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