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□Star Gazer5
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その眼に銀河を宿した光の龍。
主を守るため、そして、主ともう一人の主を守るために咆哮を轟かせた。


遊馬と小鳥が学校から家への帰路に着いていた頃、十代はハートランドシティを奔走していた。
実体化能力は出来ない事は無いが、自分がいた時代よりも遥かに反動が大きかった。
敵が現れた時、最後の手段として使った後、ここの地理が無ければ逃げ延びる事も危うい。
何処がどこに繋がり、ここがあそこに通じる近道だとかを片っ端から頭に叩き込んでいく。
突然グラリと視界が揺れる。

「・・・・・・ッ、」

髪をくしゃりと掴み、額を押さえる。
またあの頭痛と目眩がきた。
最近はずっとこの調子だった。
何かの叫びの様なノイズが頭の中を駆け巡る。

『今日はこの位にしたらどうだい?』

ユベルが十代に話しかけた。
彼を心配しているからか、それともただ単に別の理由があるからか。

「・・・俺はまだ大丈夫だぜ。それよりも少しでもここの情報を集める方を優先しないと・・・」
『・・・視界が悪くても集められると思っているのかい?』
「視界・・・?・・・あ、雨が降りそうってことか・・・。・・・仕方無い、濡れて明里に説教されるのは嫌だしな。帰るか・・・・・・ん?遊馬?」

ユベルに促され、踵を帰そうとした十代の目に走る2つの人影が。
現在十代が立っているのは雑居ビルの様な建物の上。
下を走る2つに焦点を合わせると、遊馬と小鳥が走っているのが見えた。
大方、空が曇ってきたから急いで帰っているのだろう。
そんな2人に無情にも空から無数の雫が落とされた。
十代も急いで帰って服をどうにかしないと、本当に明里の雷が墜ちると慌てた。

「・・・ッ、ヤベッ、遊馬!お前後ろ・・・ッ!!」

信号を渡った遊馬を追いかけた小鳥に交差点を曲がってきた大型のトラックが接触しそうになり、十代が血相を変えて遊馬に、そして自らも飛び降りた。
しかしここは雑居ビルとはいえ、4階建て。
普通の人間ならば足の1本や2本骨折してもおかしくない。
けれど、十代にはそんな常識は通用しない。
その常識は人間のもの。
人を外れた十代には、骨折出来る足も無かった。

「小鳥っ!!!!」

遊馬が勢いよく小鳥を後方に突き飛ばした。
けれどこのままでは小鳥だけでなく遊馬までもが・・・。

『バカッ!こんな時に!』
「いつ使うんだよ!今がそん時だろ!」

ユベルが己の能力を引き出そうとする十代の動きに、異議を唱えた。
愛する十代以外の人間の危機等ユベルには到底理解出来なかったからだ。
ユベルの悲鳴を無視して少し離れた物陰から瞳の色を橙と翠に変えた瞬間だった。
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