小ネタ


◆独りぼっちの 

アークファイブの世界に生きる十代

何でも大丈夫って人のみ↓へ



もう少ししたら帰るから、と遊矢たちに伝えた。あんまり遅いと母さんが心配しますからねと眉を少し下げた遊矢が後ろ髪を引かれながらも仲間たちと戻っていくのを十代は暫く見つめていた。
ここは舞網シティと言うソリッドビジョンの技術が何処よりも著しく発展している世界。この世界の人たちはシンクロもエクシーズも知っている。ペンデュラムと言う全く新しい召喚方法まで存在する。
美しい夜景を見つめながらもその瞳は遠くを覗いている。
---ここは、何処の世界の延長線上の世界なのだろう。
自分は何時まで・・・そこまで考えて、十代は「遊矢なら帰ったぜ」とまるで独り言のように呟いた。

「今日は榊遊矢ではなく君に会いに来た。遊城十代」

十代の後ろの木々から姿を現したのはこの世界のデュエルシステムの要となる質量を持ったソリッドビジョンを開発した赤馬コーポレーション社長の赤馬零士だった。

「俺に?俺は別にあんたに用事とか無いけど」
「私にはある。単刀直入に言おう。遊城十代、私のモノになれ」
「・・・いきなりの熱烈な告白だな。けど残念だけど俺にはとんでもない妬きもち焼きが居るからソイツに目ぇ付けられたら大変だぜ」
「確かに本当に存在していれば厄介だな」

眼鏡の縁を調整する赤馬に今まで背を向けていた十代は目を細め、顔だけ後の男へと向ける。警戒と敵意を剥き出しながら。

「何が目的だ」
「君がこの次元の人間では無いことは知っている。12の次元をも束ねる覇王の力を持つ君の力を私の為に貸してほしい」
「あんた、俺のこと知ってるみたいならそれだけは止めといた方が良い」「何度も世界を滅ぼしかけた恐ろしい力こそでなければ私のこの、世界を守る計画は実現なし得ない」
「あんたがどんな素晴らしい計画を立ててようが、俺は興味がない事には首突っ込まない主義だから」

あんまり遅いと遊矢の母さんが心配するからと、肩を竦め話は終いだと十代は赤馬に告げる。
歩き出した十代にもう一つ君に会いに来た目的があると赤馬が言えば、十代に向かってカードを飛ばした。
それを後ろ向きに手で受け取った十代は思わず歩みを止めて、そのカードを信じられないといった表情で見つめていた。

「宝玉獣専用のペンデュラムカード。今日は私に付き合ってもらった君へのお礼として受け取ってほしい」

遅くまで時間を取らせて悪かった、また後日君と話がしたいと、赤馬はそれだけ言うと、十代とは反対方向に踵を返した。

誰も居なくなったその場所で、十代は暫くその場から動けなかった。

「――ヨハン・・・」

小さな彼のその囁きは舞網シティの美しい夜景に溶けていった。


end
*****

アークファイブの世界での十代→
*遊矢の母ちゃんに気に入られる。
*遊矢の家に住む事に。

2015/03/11(Wed) 17:18

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