めんばー×めんばー(48関連曲)

□向日葵
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あなたの向日葵みたいな笑顔が大好きでした。



この想いは6年半ずっと伝えられなかったけど
遠くからあなたの笑顔を見ていたい。




あなたに忘れられても、私はあなたの笑顔を守りたい。




そしてもう一度だけ耳元で好きだと囁いてほしい。



そうしたら何もいらないから。




声が聞きたい。
肌に触れたい。
手を繋ぎたい。
キスをしたい。
私を愛して欲しい。




もう一度だけ。一度だけでいいから
私に愛をください。


そして私だけにその向日葵のような笑顔を見せてください。




―プルルルrrr




「はい」




「佐江ちゃん…」




久しぶりに聞いた佐江の声。


何も変わらなくて安心した。




「あっちゃん!久しぶり。電話なんて珍しいね。どうかしたの?」




すぐに心配してくれるところも変わってない。




「ううん。声が聞きたかっただけ。突然で邪魔してごめんね。じゃあ「ちょっと待って」




これ以上聞くと涙が出てきそうで
電話を切ることにした。



…なのに。




「佐江、あっちゃんと会いたいな。忙しいかもしれないけど。会えない?佐江とやんぬさんのビザが届かないみたいだから(笑)」




会ったら…離れられなくなる。



ずっと傍に居たくなっちゃうよ。




「でも…」




私は迷う返事しかできなかった。




「ダメ…かな?」



「…ダメじゃ、ないよ」




そんな声で言われたら、無理だよ。



断るなんて。




「よかった!じゃあ、また電話するから!じゃあね」




―ツーツーツー



電話は切られてしまった。



やっぱり今じゃなかった気もするけど。

会えるし結果オーライだと思うことにした。







しかし。



それから1週間。


電話もメールも来ることはなかった。




こっちから掛けても留守電につながるだけ。




テレビの向こうで佐江は笑っているのに。
それが私だけにじゃないのが異常にムカついた。



どうして電話をくれないのだろう。
メールを返信してくれないのだろう。


謎だらけのまま1ヶ月、2ヶ月と。



時だけが流れていく。




やっと電話が繋がった時には




「えっとー…あっちゃん!何?」




名前すらすぐに出てこないくらい。


私は薄くなっていて。




「会うって約束…」



「ごめーん。したっけー?忘れちゃった。あー!呼ばれたからごめんねー。じゃ!」




一度でよかったのに。


その願いさえも叶わなかった。



どうしてあんな約束をしたのだろう。




本当に忘れられたのか。




そのあと分かったことは、佐江が一時的に記憶を失ったということだけ。


どうしてかはわからない。



何があったかは知らない。




ただ。


私に二度と向日葵のような笑顔を見せてくれることはなかったんだ。




「ゲンキングの宮澤佐江です!」




テレビの前のあなたはまるで別人みたいに。




「前田さん…?あーあー!前田さんね!えーと…まぁ寂しかったけど、今は今だし前を向かなきゃって思いました!」




私は静かにリモコンを手に取ると



ゆっくり電源ボタンを押した。




暗くなった画面はまだ佐江の残像が写っていた。






END

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