小説

□お姫様
1ページ/2ページ





私の大好きなお姫様。




「こじぱぁー!」




に、ぎゅーっと抱きつく。




「あぁもう、優子!離れてってば」




嫌がられるのも手馴れたもの。



こんな毎日が前まではあった。




今は…。


私からはあんもり近づかない。
ベタベタしない。



これを徹底してるから。




「おはよう、こじぱ」




朝から会っても抱きつかないし、ベタベタ触ったりしない。


こじゆうファンは悲しいみたいだけど…。




大丈夫。


嫌いなわけじゃないし。




「…おはよ」




だんだん私に対して機嫌が悪くなってるのだって分かってる。


それでももう。



大人になるって決めたから。




週プレで結婚企画をやったとき。

私は嬉しくてたまらなかった。


お互いキスしあってイチャイチャして。



それでも仕事が終われば仲の良い仲間に戻った。



辛いのは陽菜だけじゃない。

私だって一緒なんだよ?


だから、そんな顔しないでよ。




「ねぇ…」




そんな声で呼ばないでよ。


ちゃんと結婚式には参列してあげるから。




「…ん?」




私はちゃんと陽菜の幸せだけを願ってるんだから。




「陽菜のこと、嫌いなの?」




あぁもう、ほんとに。


やめてよ。




「何言ってんの?そんなはずないじゃん」




本当だよ。


私にはいつだって姫が一番なんだから。




「じゃあ…なんで。なんで避けるの?なんで抱きしめてくれないの?陽菜は優子が好きなのに…」




”好きなのに”。



私は逃げてたのかもしれない。


他人からも、自分自身からも。




「ごめん、ごめんね。泣かないで?陽菜…」




私はそっと姫を抱きしめた。




「もっと、もっといっぱい抱きしめてちゅーして!陽菜は…陽菜は優ちゃんなしじゃ生きていけないの!優ちゃんがいないと…優ちゃんがいないと…っ」




そんな風に思っててくれてたんだね。


ありがとう、姫。




「ごめんね。いっぱい辛い思いさせちゃったね。ごめんね、陽菜」



「バカ…!優ちゃんの、バカ。大好きだよ…」




陽菜が愛しい。


逃げてちゃいけないんだ。



愛する人を幸せにできるのは自分しかいない。


誰かに渡したりしちゃいけない。


自分で幸せにしないと。




「ほんとにごめんね?陽菜。…お姫様、私と結婚してください」




私が必ず陽菜を幸せにするから。


だからずっと傍にいてよ。




「うん…。結婚、する。絶対幸せにしてよ?陽菜のこと」



「…もっちろん!」








大好きな陽菜へ


いっぱい辛い思いさせてごめん。



でも、その分必ず幸せにするから。



だから、それまで傍にいてください。




愛してるよ。






.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ