小説
□ひとりが嫌い
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SKEと兼任になって早5か月。
正直不安はあった。
今までAKBにいた自分を受け入れてくれるのかどうか。
ファンのみんなはどう思っているのか。
SKEの子は佐江と仲良くしてくれるのかどうか。
SNH一本って言ったのにって思われてるかもしれない。
でも、不安になっていた自分がばかばかしくなった。
メンバーはみんな優しかったし
ファンのみんなも嫌な顔一つせず受け入れてくれた。
「佐江ちゃん」
チームSになってよかったなって思った。
だいすきな珠理奈がいるから。
「珠理奈、どうした?」
最近は大人になったって聞いていたけれど
やっぱり佐江の前じゃまだまだ子ども。
「やっと同じチームになった。待ってたよ、佐江ちゃんのこと」
「うん、待たせてごめんね。もう離れないから」
優しくきゅっと抱きしめれば安心したように
ぎゅーって抱きしめてくる。
佐江がSNHに移籍になった時。
『ずっと佐江ちゃんのことが好きでした。同じチームだったからいつかって思ってたけど、移籍しちゃうから…っ』
『ありがとう珠理奈。佐江もね?珠理奈のこと好き。だけど、待っててほしい。佐江が成長して珠理奈と同じチームに戻るまで。待っててくれる?』
『待ってる。待ってるよ。だから絶対に戻ってきて』
戻ってきたかった同じチームってのはほんとはチームKだったんだけど…
まさかのチームSだったから佐江もびっくり。
でも珠理奈と同じチームってだけですごく嬉しかった。
最近では2人だけでのお仕事とかも増えてきて
『さえじゅり』なんて呼ばれたり…
SKEでの仕事があるたびに珠理奈がいて
選抜でも珠理奈がいて…
ほんとに戻ってこれてよかったし
珠理奈といれる時間が増えたことが本当に嬉しかった。
「佐江ちゃん…」
きっと佐江がいない間
頑張って大人になろうとしてたんだと思う。
無理してでも。
だから疲れちゃったんだよね?
たまには甘える場所がないと珠理奈が壊れちゃうよ。
だけどこれからは、佐江がいるからね。
「珠理奈、寝よっか?」
「んーん。もうちょっとだけ。このまま、だめ?」
「いいよ、ちょっとだけだかんね?」
ぎゅっと抱きついて
自然な上目遣い。
確実に佐江の理性は壊されていってるんだけど…
珠理奈にはそんな自覚ないよね
でも佐江、今日我慢できそうにないなあ。
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