小説

□笑い泣き
1ページ/1ページ





「あんな?さやねぇ。明日な?卒業発表しようと思ってん」

「…卒業?明日?!」

「うん…。前から言ってたやん?で、明日がええかなって思って」

「まじで言ってんの?」

「うん。さやねぇだけには言っとこって思ってん。言わんと怒りそうやから」

「怒らんけど…そっか…。言ってくれてありがと」

「めずらしく素直やなあ」

「卒業の時期とか決めてるん?」

「うん。来年の誕生日。4月3日」

「あと半年やんか」

「そうやで。でもな、この半年はむっちゃ濃い半年にすんで」

「せやな…」

「そんな声せんといて。また明日な?」

「おう…。おやすみ」

「おやすみ、さやねぇ」



NMB48のことが大好きやって言ってた。
やけど、大好きやからこそ卒業せなあかんって言ってた。
せやけどそん時は現実見てなかってんな

山田はちゃんと考えてたんやな…


涙声、バレてんやろな





「ちょっと待ってください!私、山田菜々は、NMB48を卒業します!」


昨日はよく眠れんかった。
この日が来るのが怖かった。
ずっと支えてくれていた、このかけがいのない人物が
もう隣で支えてくれんと思ったら涙が溢れて止まらなかった。


メンバーたちは嘘やろとかいややってゆってる。
嘘やないねんて、ほんまらしいで。

みるきーが隣で騒いでる。
ほんま山田のこと好きやなあ。渡さんけど



みんな泣いとる。
山田は愛されてんねん。
アンチも少ないって言われてるしな

こんな愛されとるやつがおらんくなったら
どうなるんやろな…



あー、やばい
涙が出てきそうや。
今日は泣いたらあかんねん。悲しんだらあかん


初めての星のエピソード言わんでええねん。
やって山田と歌いたかってん
私の歌い出しで始まるこの歌。
山田が歌い出しのさやねぇの声好きって言ってくれたから
一緒に歌いたかったなあって言ってくれたから
歌いたかってん。
昨日泣いてたのも、バレててんなやっぱ。
こんな時だけお姉さん口調やめろや
泣いたらあかんねんから…




私は今まで山田に何をしてあげられた?
この4年間、幸せにしてあげられた?
NMBとしても山田菜々個人としても。


私最後、山田菜々個人としてもっていうの
むっちゃ言った気がするなあ
やってな?山田菜々個人もしっかりと
応援してほしいって思ってん。

山田がおったからここまで来れてんから。


「山田」

「あ、さやねぇ」

「お疲れ」

「うん、お疲れ様。ありがとな?」

「ん?」


なぜか山田にお礼を言われた。


「さやねぇがツンデレしてくれたから、悲しい空気にならずにすんだ」

「ツンデレって。まあ、な」

「ほんまは泣きそうやったよな」

「…っ、泣きそうちゃうし!泣かんわ、あほ」

「なんでや〜」


泣きたいよ。
さみしいもん。

でも泣いたらあかんやろ?
山田のためにも私は泣かんで、笑顔で送り出すんや。


「山田?」

「ん?なに?」

「好きやで」

「っなに?急にどうしたん?」

「山田は?」

「、好きやで?」

「よかった」

「変なさやねぇ」

「たまにはええやろ?」

「素直だと調子狂うやんかぁ」

「なんでやねん」


好きやねんもん。
好きな人が側におらんくなるんやで?

これからはいっぱい素直に好きって伝えなあかんな


やって山田は私のものやもんな。


「半年後、絶対にさやねぇ泣かす」

「は?無理やなそれは」

「なんでぇ」

「やって、半年後私は笑顔で山田を送り出すねんで?」

「えー」

「やって悲しい空気は山田に合わんもん」

「じゃあ笑い過ぎて泣かしたるわ!」

「ははは、ま、頑張りーや」


私は笑顔で山田を送り出すって決めたんや。
やから泣いたりせえへんで?

笑い泣きなら、しそうやけどな。


笑って泣けるなら、幸せやろ?



END

半年後は笑って卒業。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ