リクエスト

□愛の数
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東京ドーム公演リハーサル






「…来たんだね、本当に」





あっちゃんの一言でやっと少しは実感できたみたい。


私たちの追いかけてきた”夢”。



6年8ヶ月ちょい経った今、私たちは
見たかった景色を見てる。




1830m。長いようで短く、短いようで長い。
そんな距離を歩いてきた私たち。
叶えたかった夢を大好きな仲間と叶えるんだ。





「ここ、スタートラインでいいんだよね?」





”卒業”の2文字が頭をよぎる。
あっちゃんにとってはゴールライン。
いや、でもスタートラインか。


新しい扉を開くスタートライン。





「やんなきゃね」





私たちがやらなければいけないこと。
それは…無事にゴールテープを切ること。
それと同時にスタートラインを切ること。










―衝撃の当日





身体が震えて止まらない。



せっかく切ったゴールテープが戻ってきてしまった気がした。





「AKBは新たに組閣します」





分かっていたスタートライン。


なのに…切りたくないと思ってしまう。





「チーム4をなくし、A、K、Bの3チーム制に戻します」





迫るスタートラインに足元がふらつく。


本番前まであんなに意気込んでいた仲間も
突然のサプライズに困惑する。





「高橋みなみチームA。高橋みなみをAKB48グループ総監督に任命します」





ついに切ってしまったスタートライン。

止まらない。


みんなが離れていくようで怖い。





「篠田麻里子チームA。高橋みなみに代わって篠田麻里子をチームAキャプテンに任命します」





変わっていく。


知らない新しいものに。


目の前で起こる革命。





「大島優子チームK。秋元才加に代わって大島優子をチームKキャプテンに任命します」





ついに私のスタートラインも切られてしまった。


想像もしない現実。



こんなに重いスタートだなんて聞いてない。


知りたくなかった。受け入れたくなかった。


でも私たちは前を向かなきゃいけない。





「…高城亜樹ジャカルタ48に移籍」





ここまで来ると訳が分からない。


もうどうしたらいいか分からない現状が次々と降りかかってくる。





「…宮澤佐江シャンハイ48に移籍」





心友でさえも離れていく。

一人で取り残されていくようで。






ここにいるのが辛かった。








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