リクエスト

□すれ違い
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優子side



毎日毎日。



「麻里ちゃーん」



だとか



「たかみなー」



だとか



「佐江ちゃーん」



だとか。


しまいには



「さしはらー」



なんでだろう。


どこで間違えたのかな?


どこで足を踏み外したのかな?


あんなに好きだったのに。むしろ今でも好きなのに。
なのに、イライラして。

最近陽菜とは
ろくに会話もしてない。

前は陽菜に抱きつくのが日課で
毎日好きだって言ってた。


なのに今は陽菜のもとに行けない。
恋人のはずなのになぜか、足が動かない。

私の気持ちは…なんなんだろう。
本当に陽菜が好きなのかな…?



確かめたくて…ゆっくりと足を動かした。



「陽菜……」



弱弱しく呼んだ恋人の名。
なんか泣きそうで、怖い。



「ん?何、優子」



今までなら
優ちゃん、なーにー?
って。
嬉しそうに来てくれたのに。


今は雑誌から目を離さず適当な返事。


陽菜の気持ちはもう私にはないことを悟った。



「話…あるから……」



今にも泣きそうで。
陽菜の顔を見れなくて。


でもちゃんとけじめをつけなきゃ。



「で、話って?」



すごくダルそう。

よっぽど邪魔されたのが嫌だったのか
かなりイラついてるらしい。



「…うん、あの…ね」



陽菜はきっともう
私を好きじゃないだろう。

なのに…なのに
いざ別れを切り出すとなると
やっぱり好きで離れたくないと思ってしまう。



「なぁにー?言うの?言わないの?優ちゃんウジウジしすぎ」



相当イラついてるのか怒られた。


けど私はあることに気づいた。
怒ってるのに陽菜の口調はいつもどおりに戻っていた。


優ちゃん。
確かにそう呼ばれた。







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