リクエスト

□守るから
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「キスして」


「…や」


「抱きしめて」


「…や」


「…手、繋いで」


「…ん」



はぁ。まただ。


私の彼女、小嶋陽菜は
キスとぎゅーができない。

手は繋いでくれるんだけど。


私たちこれで恋人?



「ねぇ陽菜」


「…ごめん」



いつもこうやって謝られる。


分からない。

理由も何も教えてはくれない。



「どうして?…どうしてできない?あたしからも、ダメ?」



女の子が好き。

そう気づいたのは小4の春。


クラスに美少女が転校してきた。
私はその美少女に一目惚れ。


それからというもの
美人と可愛い子にしか目がない私。


初めて女の子と付き合ったのは中2。

私はそれまで
自分がゲイだと認められなかった。

認めたら、ダメな気がした。


けど初めて付き合った
女の子に優子はゲイだよと言われてから
あぁ私はゲイなんだと認めた。

その子も自分はゲイだと言った。


結局その子とは
中3の冬まで続いたけど
受験勉強やらなんやらで
会えない日々が続くと
自然とお互いを求めることもなくなり
どちらからともなく別れた。

そして私はもちろん女子高を受けた。
レベルをひとつ落として受けた高校は何と1位通過。

落とした理由は簡単。
ちょっとおバカな方が可愛い子がたくさんいるから。


予想は大当たりで
可愛い子がたくさんいた。


そこで出会ったのが
現在の彼女、小嶋陽菜。



「…ダメ、かも…」



なんとも曖昧な答え。

非常に困る。



「陽菜。理由、教えて?ぎゅーもちゅーも出来ないのは大島さん、辛いなぁ」



付き合って半年も経つのに。


未だに手を繋いだことしかない。



「分かってる…陽菜も辛い。けど…怖いから…、また苦しくなるの、いや」



陽菜は過去を教えてくれない。

今なら聞いてもいいだろうか?



「ねぇ陽菜、怖いの?過去に…何があったの?あたし、ちゃんと聞くから。だから話してみ?」



そう言えば
陽菜はゆっくりと過去について話し始めた。



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