A.I.の少女兵器
□16話
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あたしは人と人の間を通る。
ここは戦場で皆傷の手当てをしている。
あたしは人と人の間を通る。
みんなが畏怖の念をこめて見る。
あたしはたった今まで兵器として戦ってきた。例え学生服に身を包んでもあたしは「普通の女の子」には程遠い。
視線が痛くて、あたしは少し気まずかった。
ここには居場所がない。
アハハハ…
隅っこで2人の若い男の人は笑ってる。
あたしには気付いてないようで、思わずその人達のところに近付いた。
「あの…水を貰えます?」
「……!」
「あ、あなたは!」
「ッごめんなさい、やっぱ…」
2人は目を見開く。
思わず謝って、やっぱりいいと言おうと思ったがなぜか2人は目を輝かせた。
「うわー南條さんだ!」
「本物だ!本物の鈴音ちゃんだ!」
「は?」
「あのっいつも見てます!感激です会えるなんて!その…」
「いやーさっきの戦闘はすごかったねぇ!マジすごかったよ鈴音ちゃん!」
何だか芸能人とか有名人になった気分。
いきなりの事で反応出来ずにいると、誰かが2人の頭を殴った。
「貴様ら!“上官”に向かってなんて口のきき方だ!…小隊長殿。自分の部下が失礼しました」
「はぁ……」
敬礼をするまだ若い25歳くらいの男性に思わずひるんであたしも真似して敬礼する。
ええと、この人は二尉だったはず。確か名前は……
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