闇口の世界理論
□山吹高校
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「またサボってたのか?亜久津」
「あ゛ぁ?」
一睨みするだけで部長であるはずの南、そして見てなかった他の部員すらも震えた。
これに動じないのは千石と壇くらいだ。
しかし千石は委員会で遅れ、壇は部室内にいる。
―――それがさらに亜久津をイラつかせる。
「(何で俺がこんなことを…)」
思考にちらつくのは≪人類最美≫という女からのメール。
復讐のため、と脅迫じみたお願いを何度も送られてきた。
アドレスを教えた覚えはないし、会った事もないはず…なのに、最近はひっきりなしだ。
「おいテメェ等…」
「お、俺等か?」
「他にいねぇだろ。もし無事でいたかったらさっさと帰れ」
今の凄みようだったら「殴られたくないなら散れ」とも捉えられるが、違う。
“らしく”もなく言った言葉に頭をガシガシと掻く。
僅かながらの良心…否、直感で感じる面倒なことを回避する本能だった。
「さっさと…「だだだだーん!だめデスよー先輩!」
タオルが入った籠を持ちつつ壇が割り込む。
「亜久津は皆さんを殺さなくちゃイケナイんです」
凍るような笑みの中、天吹仁は黙ってポケットに手を入れた。
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